研究概要 |
プレート底面に作製したTetra-PEGゲルにMC3T3-E1, NIH3T3, ATDC5を播種し、24時間インキュベートした。その後、顕微鏡による細胞の形態観察、MTTアッセイによる細胞増殖活性の評価を行った結果、いずれの細胞腫においても、ゲルへの接着は認められなかった。この結果より、Tetra-PEGゲルは細胞接着性の非常に弱いゲルであることが明らかになった。細胞接着性を制御するために、任意の量のRGDペプチドを導入した結果、細胞接着が確認され、細胞接着性をRGDペプチドの導入量により制御できることが明らかになった。 厚さ1mmのゲル膜をFITC-Dextran溶液 (Mw = 4-70 kg/mol, 1.5 mg/mL)に浸漬し、2週間FITC-Dextranを吸収させた後、FCSを用いて拡散係数 (D)の評価を行った。異なる網目サイズを有するTetra-PEGゲルに対して拡散係数の評価を行ない、拡散係数に及ぼす網目サイズと拡散物質サイズの影響を定式化した。 分解性を制御したTetra-PEGゲルは分解に対して、非分解性ユニットの分率を変えて作製したゲルをpH 7.4, 37℃のバッファーに浸し、膨潤度の時間変化を測定した。膨潤度からFlory-Rehner仮説を用いて、有効網目密度 (ν)の時間変化を算出し、ユニット間の結合率 (p)を擬一次過程と仮定し、樹状構造理論を用いてpよりνの時間変化を予測した。実験データは理論的予測に従い、分解部位の分解速度定数、分解時の臨界結合率を求めた。それらの結果より、分解部位の導入量により分解時間を精密に制御することが可能となった。
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