本研究では,細胞のみからなる3次元組織の生体外構築に向けて,反磁性を利用した3次元細胞アセンブリデバイスの開発を行った.本手法は,培養液に強磁性体化合物を溶解することで細胞を相対的に反磁性体と見立てて,非標識で同時に大量の細胞の集積を可能にするものである.本手法では,強磁性化合物を培養液に添加する必要があるため,MRI造影剤として使われているGd化合物に着目し,その毒性が十分に低いことを確認した.そして,有限要素法による磁場解析結果に基づき,2対の電磁石からなる細胞アセンブリ装置を作製した.この装置と蛍光ビーズを用いて,電磁石に流れる電流のバランスを変えることで,限定的ではあるがチャンバー内の任意の位置に粒子を凝集させることを確認した.そして,最終的にはこの装置により,マウス筋芽細胞株C2C12細胞を円錐形状に凝集させ,3次元組織を構築することに成功した.
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