多成長因子分泌型卵膜由来間葉系幹細胞シートの開発

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23700569
• 研究機関: 独立行政法人国立循環器病研究センター
• 研究代表者: 石兼 真 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (40470190)
• キーワード: 卵膜 / 間葉系幹細胞 / 細胞シート / パラクライン / 心筋梗塞 / 血管新生効果

研究概要

前年度に引き続き、卵膜由来MSCシートの栄養因子分泌能増加を目的に、ラット卵膜MSCにsiRNA-int6を導入して検討を行った。Lipofectamineを用いて再設計したsiRNA-int6をMSCに導入し、24、48時間後に抽出したRNAを用いてreal time PCRを行った。siRNA-int6の導入により、ネガティブコントロールと比較して、90%以上のint6ノックダウン効果を得られた。しかし、HIF2alpha、HIF1、VEGFの発現上昇は確認されなかった。また、siRNA-int6を導入したMSCを用いて細胞シートを作製し、心筋梗塞作製直後にラットの左心前壁に対して移植を行った。移植4週間後に、心エコー評価を行ったが、ネガティブコントロールを導入したMSCシート移植群と比較して、siRNA-int6を導入したMSCシート移植群で有意な心機能改善効果は得られなかった。
ミニブタ心筋梗塞作製直後に、結紮したLAD周辺にGenome-oneを用いてsiRNA-int6を6箇所筋注投与した。siRNA-int6投与4週間後に、冠動脈造影により血管新生効果を評価した。ネガティブコントロール投与群では結紮LAD下流に血流造影は確認されなかったが、siRNA-int6投与群では毛細血管様の血流が確認された。
卵膜由来MSCにsiRNA-int6を導入し、HIF2alphaの分解抑制効果による栄養因子分泌能の増加に関する検討を行ったが、int6のノックダウン効果は確認されたものの、栄養因子分泌能の増加作用は確認されなかった。一方、虚血心筋内に直接投与を行うことにより、毛細血管様の血管新生を確認することができた。

研究成果

• [雑誌論文] Allogeneic transplantation of fetal membrane-derived mesenchymal stem cell sheets increases neovascularization and improves cardiac function after myocardial infarction in rats. (2013)
  • 著者名/発表者名: Shin Ishikane, Hiroshi Hosoda, Kenichi Yamahara, Yoshiharu Akitake, Jung Kyoungsook, Kenichi Mishima, Katsunori Iwasaki, Michihiro Fujiwara, Mikiya Miyazato, Kenji Kangawa, Tomoaki Ikeda.
  • 雑誌名: Transplantation 巻: 96 ページ: 697-706
  • DOI: 10.1097/TP.0b013e31829f753d.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Comparison of Angiogenic, Cytoprotective, and Immunosuppressive Properties of Human Amnion- and Chorion-Derived Mesenchymal Stem Cells. (2013)
  • 著者名/発表者名: Kenichi Yamahara, Kazuhiko Harada, Makiko Ohshima, Shin Ishikane, Shunsuke Ohnishi, Hidetoshi Tsuda, Kentaro Otani, Akihiko Taguchi, Toshihiro Soma, Hiroyasu Ogawa, Shinji Katsuragi, Jun Yoshimatsu, Mariko Harada-Shiba, Kenji Kangawa, Tomoaki Ikeda.
  • 雑誌名: Plos One 巻: 9 ページ: e88319
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0088319. eCollection 2014.
  • 査読あり