研究課題/領域番号 |
23700586
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
林 ゾウワ 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00537243)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 医用ロボット / モーション・キャプチャー / 手術手技評価 |
研究概要 |
プロジェクトを進めていくにあたり、研究活動の円滑な進行を実現した。われわれが提案したシステムは異なる研究分野の融合プロジェクトであるため、各研究分野(センシング技術・筋電計測技術・エネルギー抽出技術等)における主要な専門知識に関してこれまでに調査を行った。この調査においては,各研究分野の知見に基づく研究手法の仮説考案・検証に加え、研究費用や発表方法に関しても正確で効果的なマネージメントを行った。 1、研究成果を公表するため、国際会議(9回)と国内会議(1回)で発表、ジャーナル論文(2本)を投稿した。 2、外科医の動作を運動学および生物力学的に解析し、総合的な手術手技評価を目指すため、本研究では姿勢センサ・筋電センサモジュール(以下、セントラルユニット)のプロトタイプを開発した。このプロトタイプは3軸加速度センサ、3軸角速度センサ、3軸地磁気センサ、圧力センサ、筋電センサ(1箇所)の5種類のセンサから構成され、PCとの通信はBluetoothを利用したことで無線化を実現した。ここでは、動作計測において,各種センサの計測値から姿勢角度を推定するための計測アルゴリズムの開発、および評価実験と考察を行った。従来手法では、動的な運動計測における加速度センサは慣性力の影響を受け、計測値に誤差が生じる欠点があったが、拡張カルマンフィルタを用いることで、誤差を減少させ、計測精度の向上を実現した。また、四元数により状態表現を拡張することで、モジュールの姿勢角度計算の効率向上と特異点回避を実現した。開発したプロトタイプと考案した計測アルゴリズムを検証するため、評価実験を行った。角度精度は2度以下、サンプリング周波数は400Hzを実現し、これらの性能は市販の姿勢センサに匹敵するものであった。 3、各センサモジュールのデータを取得・解析するためのソフトウェアおよびファームウェアを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究活動の円滑な進行によりプロジェクトを進めた結果、研究計画初年度の到達度は90パーセントであった。残りの10パーセントに関しては、姿勢センサと筋電センサの統合により達成する。筋電センサに関しては2種類のプロトタイプを開発し、性能評価を既に行った。しかし、筋電センサのノイズが多いため、実装するフィルタ設計を見直す必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
姿勢センサと筋電センサを統合させるため、筋電センサに様々なディジタルフィルタとアナログフィルタを応用させ、計測精度の向上を目指す。その後、姿勢センサと筋電センサの統合を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
プロジェクトは第2フェーズに移行する。第2フェーズで取り組む主な内容を、以下に示す。 1、エネルギー抽出・貯蔵・管理モジュールを含む、エネルギーサブシステムのプロトタイプを開発する。エネルギー抽出モジュールには、セントラルユニット全体に電力を供給するため、様々な抽出技術を検討し、応用する。また、エネルギーサブシステムは、最大250[mW]までサポートできるようにする。 2、初年度開発した筋電センサの性能を様々なフィルタ技術を応用させることで改良し、姿勢センサと統合、セントラルユニットのプロトタイプを開発する。このプロトタイプは、重量30[g]以下、サイズ30×30×20[mm]、電力消費量150[mW]を目指す。 3、当初の目的に関して、開発した全システムの性能評価を行う。まず、検証実験、実験装置、収集データ、データの収集方法の明確な目標を定義する。同時に、姿勢計測と筋電計測の結果の関連性を数理モデルを検討し、手術手技評価関数も考案する。
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