研究課題/領域番号 |
23700588
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
宮本 和英 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (10415317)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ユビキチン化 |
研究概要 |
生体内には生命維持の為にタンパク質の品質管理機能があり、これはユビキチン化により行われている。ユビキチン化は、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)およびユビキチンリガーゼ(E3)の3つの酵素が関与しており、また、膀胱癌、前立腺癌、腎臓癌などといった様々な重篤な疾患に関わることが分っている。このユビキチン化の度合いを高感度に検出することができれば、疾患の判断、病態把握に役立つ。本研究では、ユビキチン化に関わる酵素であるE3を人工的に作製し(以下、人工的なE3と呼ぶ)、さらに生理活性反応測定装置(AMIS-101)を活用することで、人工的なE3のユビキチン化の度合いをin vitroで高感度に検出する。さらに、尿サンプルに最適な測定条件を検討して、疾患の診断・病態把握の可能性を調査する。当該年度では、人工的なE3の分子設計および合成を行った。先ず、人工的なE3を分子設計した後、ペプチド合成してグラジエントHPLCで精製した。その合成確認は、質量分析により行った。目的とする人工的なE3を98%以上の高純度で得ることができた。次に人工的なE3が緩衝液中において立体構造がとれるように最適な条件で透析操作などを行うことでリフォールディングを行った。その確認は円二色性分光計を用いるCDスペクトル解析により行った。続いて、得られた人工的なE3の機能の確認を行う為、ユビキチン化関連試薬(E1,E2,ユビキチン)などを含む混合溶液に人工的なE3を添加してユビキチネーション反応を生じさせた。この反応をユビキチン化抗体を使うウエスタンブロット法により検出して、人工的なE3によるユビキチン化機能を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、様々な疾患を診断する為にユビキチン化反応を利用する。当該年度では、ユビキチン化を生じさせるために、人工的なユビキチンリガーゼ(E3)を分子設計・合成することを目指した。人工的なE3の分子設計から合成確認、機能確認まで計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ユビキチン化は、膀胱癌、前立腺癌、腎臓癌などといった様々な重篤な疾患に関わることが分っている。ユビキチン化の度合いの変化を高感度に検出できれば各疾患の診断・病態把握が可能となる。本研究では、ユビキチン化に関わる酵素であるユビキチンリガーゼ(E3)を人工的に作製し、さらに生理活性反応測定装置(AMIS-101)を活用することで、人工的なE3のユビキチン化の度合いを高感度に検出する。さらに、尿サンプルに最適な測定条件を検討して、疾患の診断・病態把握の可能性を調査する。次年度では、既に分子設計・合成するなどして得た人工的なE3を用いて、それによるユビキチン化反応をAMIS-101装置で検出・測定することを目指す。先ず、事前に精製したユビキチン化関連試薬(E1,E2,ユビキチン)などを含む混合溶液を用いてin vitroでの高感度な検出を予定している。その後、被検体を尿サンプルに移行し、臨床サンプル中のユビキチン化の度合いを測定することによって、泌尿器系の疾患の病態把握の可能性を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究ではユビキチン化を高感度に検出・測定するので、それに関連する試薬・実験器具を購入する。また本研究に関連する学会や会議での発表・調査に係る費用が必要となる。
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