研究課題/領域番号 |
23700590
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
植松 美幸 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (10424813)
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キーワード | 手術支援システム / ナビゲーション / シミュレーション / ステントグラフト |
研究概要 |
医師,患者双方にとって役立つ手術支援システム全体のあり方を考えて進めている.24年度はスキルの高い医師が感覚的に捉えている内容を他の人にも伝えられる方法を模索した. 対象は弓部大動脈瘤に対するステントグラフトの留置術とした.ステントグラフト留置術はすでに画像支援により進められている.手技中の感覚や判断ポイントを医師への聞き取り調査などによって探りながら,他の支援形態可能性を提案する.ステントグラフト内部にはX線による画像として写るマーカが取り付けられている.手技中はC-arm CTの画像でマーカ位置が血管の分岐部に合っているか確認しているのが現状である. 大動脈の中でも弓部はねじれのある部位であり,瘤とそのねじれの関係には個人差がある.ステントグラフトがこめられたシースを挿入し,ステントグラフトを立体的に展開させていく過程は2次元の画像からはイメージしづらいとのことであった.そこで,ねじれの異なる2つの大動脈瘤模型を3次元プリンターで作製し,それを対象にステントグラフト留置術を行うシステムについて検討した. ステントグラフトには展開開始点となる1点とマーカ位置と同一の周上に3点の計4点に磁気式マーカを設置した.磁気式位置センサー(AURORA, NDI社)を用いて,シースに詰めたステントグラフトが挿入され,立体的に展開され,分岐部への適切な位置へ留置されるまでの過程を計測した.解析はMATLABを用いた.模型作製に用いたSTLモデルをPC画面上に再現し,シースの経路,同一周上にある三角形の展開をそこに重畳させた.操作者は1名であったため,個人間のスキル差は見出せなかったが,ステントグラフトの展開結果はファントムごとの再現性が高く,瘤の形状によって決まる可能性が見い出された.医師個人の頭の中でのイメージでなく,手技を体感しながら治療に関わる人たちが情報共有する方法が示せた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手術前,手術中の支援方法についてはこれまで示してきたため,手術後やその先につながる方法の提案を行うことで全体のトータルシステムについてまとめていけると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
治療を受ける前のシミュレーションによるイメージ作り,治療中のナビゲーションによる支援を示してきたが,次年度は治療中のログを記録していく方法に取り組む.これらをうまくつなげることで,治療を受ける際の全体の流れをつかめるトータルシステムにつなげていきたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
映像機器のデジタル化によるログ取得のためのシステム構築は従来のアナログ時代の方法では難しいため,刷新が求められる.デジタル情報の記録方法に重きを置いた使用を考えている.
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