研究課題/領域番号 |
23700591
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
大谷 健太郎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 研究員 (50470191)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 生体分子 / 超音波 / 分子イメージング / 薬学 |
研究概要 |
本年度は、本邦で臨床使用可能な、ホスファチジルセリン(PS)を殻成分に含有する微小気泡(Sonazoid)の表面に、生体内でPSとインテグリンavb3とを橋渡しする役割を有するタンパク質であるMFG-E8が結合可能(Sonazoid-MFG-E8複合体の作成が可能)であることを明らかにした(Otani K. Ultrasound Imaging 2011)。Sonazoid-MFG-E8複合体はインテグリンavb3との結合能を有すると考えられることから、腫瘍血管や血管新生療法による新生血管の超音波分子イメージング用造影剤としての可能性が期待できる。しかし、生体に投与するのに先立ち、MFG-E8での修飾によりSonazoidの気泡径が変化するか否かについて検討を行った。Sonazoidの気泡径をMFG-E8との結合前後でCoulter Counterを用いて比較検討したが、有意な気泡径の増大は認められなかった。このことから、Sonazoid-MFG-E8複合体の生体への投与は、気泡サイズの面からは安全であると考えられる。次に、Parallel-plate flow chamber systemを用い、shear stressがかかる流路内でインテグリンavb3発現細胞である血管内皮細胞(HUVEC)が剥がれない培養条件を見出した。同時に、chamber system内のHUVECにSonazoidを灌流させ、HUVECとSonazoidとの非特異的結合が最少となるshear stress、Sonazoidの灌流・洗浄時間の検討を行い、その最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究目標に記載していた、Sonazoid-MFG-E8複合体の作成可能性の確認が達成できたと同時に、来年度以降に施行する予定であるparallel-plate flow chamber systemの灌流条件を決定する事ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
Sonazoidとインテグリンavb3発現細胞(HUVEC)、あるいは腫瘍血管・新生血管との接着がMFG-E8による修飾によって増強されるか否かについて、またその結合の特異性についてin vitro(parallel-plate flow chamber)及びin vivo(マウスモデル)研究によって詳細に検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は研究費の大半を消耗品購入に充てる予定である。SonazoidやMFG-E8、HUVEC、リコンビナントインテグリンavb3など、parallel-plate flow chamber systemを用いたin vitro実験で使用する消耗品の購入が大部分を占めると考えられる。また、in vitro実験の目処が立った段階で、マウスを用いたin vivo実験へ徐々に移行していく予定であるため、マウス購入費にも一部研究費を使用する予定である。
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