研究実績の概要 |
本年度の目的は、化学療法およびホルモン療法をを受けている患者において、効果的な運動療法を行うために運動療法と関連する要因について調査することである。 1. 対象は初回R-CHOP療法を施行された患者41名(男性22名,女性19名, 58歳)。末梢神経障害(CIPN)の評価はCTCAE Ver4.0を用いて行い、治療期間中Grade2以上の症状を呈した患者をHigh群(n=11)、Grade1の症状を呈したもしくはCIPNが未発生だった患者をLow群(n=30)とした。R-CHOP療法1-6サイクルまでの各サイクル開始直前のHb、eGFR、BUN、Na、K、Alb、総蛋白、血糖とCIPNとの関連性について、多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した。多変量解析において3サイクル目以降のHb値は、CIPNの程度と有意に関連したが、その他の検査項目とCIPNの程度に関連を認めなかった。 2. 対象者は術後ホルモン療法としてアロマターゼ阻害薬(AI)を服用している閉経後乳がん患者28名(66歳)とし、骨代謝の評価として骨形成マーカーにはP1NPを、骨吸収マーカーにはTRACP-5bを用いた。身体活動量の評価には加速度計(Lifecorder EX 4秒版, スズケン社製)を用いた。身体活動量は加速度計が反応する活動強度0~0.5をSedentary Time(ST)、1~3をLight Physical Activity(LPA)、4~6をModerate Physical Activity(MPA)、7~10をVigorous Physical Activity(VPA)に分類し、LPA、MPA、VPAの合計をTotal Physical Activity(TPA)とした。STが長いほど骨形成マーカー、吸収マーカーともに高値を示す結果であり、LPA、TPAが長いほど骨形成マーカー、吸収マーカーともに低値を示す結果であった。
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