研究課題/領域番号 |
23700603
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 真 広島大学, 保健学研究科, 助教 (50435690)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 心拍変動周波数解析 |
研究概要 |
本研究は申請者らの「心臓交感神経は従来の定説とは異なり,運動開始時及び運動終了後の速やかな心拍数調節に重要な役割を果たす」という知見に基づき,ヒトの運動時の心臓自律神経活動,特に心臓迷走神経活動を推定できる唯一の方法である心電図RR間隔の変動をWavelet周波数解析することで得られる高周波成分を指標とし,できる限り呼吸の影響を除外した状況下で心拍数との関係を検討することで,ヒトの運動中及び運動後の心拍数調節における心臓迷走神経及び心臓交感神経の役割を再検証することである. 本年度は40%MVCと25%MVCの異なる強度での2分間の等尺性ハンドグリップ運動中の心拍数とRR間隔変動の高周波成分の経時的変化を検討し,特に運動初期の心拍数調節における心臓迷走神経活動について検討した.なお,呼吸の影響を除外するために,呼吸数,一回換気量を統一した.運動初期の心拍応答は,40%MVCでの等尺性ハンドグリップ運動で25%MVC時に比べ,より早く大きく増加し,RR間隔高周波成分は40%MVCで25%MVC時に比べ,より早く大きく低下する傾向が認められた.したがって,運動強度に依存して,心拍数応答が変化し,その心拍数調節に心臓迷走神経活動が関与することが明らかとなった. 従来,運動開始時から100~120 beats/min前後までの心拍数の調節は迷走神経の抑制によって調節されることが報告されていたが,この範囲での心拍数の調節に心臓迷走神経活動が適切に対応していることが示唆される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究によって,心電図RR間隔変動の高周波成分を心臓迷走神経活動の指標とし,呼吸状態を統制し,運動初期の心拍数調節における心臓迷走神経活動について,新たな知見を得た.呼吸状態を統制するにあたり,今年度は比較的呼吸状態が運動中に変化しないように,運動様式として,等尺性ハンドグリップ運動を採用した.この運動様式では心拍数が100bpm前後までしか増加しないため,この範囲の心電図RR間隔とPP間隔はほぼ同じであり,RR間隔の変動を用いることで対応ができた.しかしながら,心拍数が100bpmを超えるような動的な運動においては,研究課題のメインテーマである心電図PP間隔変動を用いる必要があり,また,呼吸状態の統制について検討する必要がある,これらの点は次年度以降の課題であるが,今年度の研究成果から,3年間の研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる,
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた成果をもとに次年度以降,心電図PP間隔変動の高周波成分を指標に,自転車エルゴメータを用いた動的運動中および運動終了後の心臓自律神経による心拍数調節の検討を行う.既に,予備実験を開始しており,研究計画に従い,研究を進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究予算は主に消耗物品費,図書,国内外学会出張旅費として使用予定である,
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