研究課題
本年度の目的はステロイド筋症の進行抑制効果のメカニズムを検討することである.具体的には,筋量の増加を促進するinsulin-like growth factor(IFG)-1や分子シャペロン機能によって筋タンパク質を修復するHeat shock protein (Hsp)72,ubiquitin proteasome system (UPS)の指標であるMuRF1およびatrogin-1の検索を実施した.実験動物には8週齢のWistar系雄性ラット32匹を用い,生理食塩水を投与する対照群(C群),2週間のステロイド剤投与を行うSteroid群(S群),ステロイド剤投与中に温熱負荷を実施するSteroid &Heat群(SH群)を用いた.生理食塩水およびステロイド剤は1週間に6日間の頻度で2mg/kg量を傍脊柱に皮下投与した。温熱負荷は約42℃の温水浴内に60分間ラットの後肢を浸漬する方法で3日に1回の頻度で実施した.試料は長趾伸筋を供し,ELISA法によりIGF-1,Western blot法によりHsp72をタンパク質レベルで検索し,MuRF1およびatrogin-1はReal-Time PCR法によりmRNAレベルで検索を実施した.その結果,S群はC群と比較してIGF-1が減少し,MuRF1とatrogin-1が増加していた.SH群はS群と比較してHsp72が増加し,MuRF-1とatrogin-1が減少していた.以上のことから,温熱刺激単独のステロイド筋症の進行抑制効果のメカニズムには,Hsp72の増加によるUPSの抑制が関与していることが示唆された.しかしながら,温熱刺激と低強度筋収縮運動との併用におけるステロイド筋症の進行抑制メカニズムの検討には至らず,これは今後の課題である.
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Journal of Physical Therapy Science
巻: 26 ページ: 203-208
10.1589/jpts.26.203
理学療法
巻: 31 ページ: 306-317
http://www.am.nagasaki-u.ac.jp/pt/basic_pt/index.html