研究課題/領域番号 |
23700607
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
新中須 真奈 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60457653)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 音声視覚化システム / 視覚化音声 / 異常構音 / 構音訓練 / 口蓋裂 / 口蓋裂音声 |
研究概要 |
口蓋裂のもたらす構音障害は鼻咽腔閉鎖機能不全を原因とするものとそれ以外のものとに分けられる.鼻咽腔閉鎖機能不全による異常構音は口蓋形成手術や咽頭弁形成術によって改善できる.一方,鼻咽腔閉鎖機能改善後も異常構音が残る場合があり,口蓋化構音,側音化構音として着目されている.口蓋化構音や側音化構音の原因は口蓋形態の異常,舌運動異常習癖など多岐にわたるため,病態の解明に困難を要し,効果的な構音訓練方法は確立されていない.本研究の目的はこれらの異常構音発生原因を音声から捕え,自己の発声する音声を視覚的にフィードバックさせながら効果的に構音訓練を行うシステムを構築することにある. 本年度は1)口腔顎顔面疾患,耳鼻科疾患を有しない健常で正常咬合者の音声を視覚化して正常者の基準パターンを作る,2)顎変形症手術前・後の構音を解析・比較し,咬合の変化による差異を検討する,を行い,健常者と顎変形症患者の間に違いがあることを音声視覚化システムを用いて示すことができた.また,同システムを用いて,術後患者が健常者のパターンに近づいていくことを検証できた. 上記結果を学会にて報告した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,2年間の研究期間において,1)口腔顎顔面疾患,耳鼻科疾患を有しない健常で正常咬合者の音声を視覚化して正常者の基準パターンを作る,2)顎変形症手術前・後の構音を解析・比較し,咬合の変化による差異を検討する,3)歯列不正患者の構音が歯列の改善に伴って経時的にどのように変化するかを解明する,4)歯列形態を模型から三次元的に解析し構音と歯列形態との関連を解明する,5)口蓋裂患者の音声パターンから異常構音の要因を探れるかの検討、を行い音声視覚化システムの構音治療への応用を目指す,ことを目標としているが,すでに1),2)に関しては結論を得ることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,歯列不正患者の構音が歯列の改善に伴って経時的にどのように変化するかを解明するために,歯列形態を模型から三次元計測装置を用いて3次元的に解析し,咬合形態,歯列形態と視覚化音声パターンの関連を見出す.歯列模型の計測には非接触型三次元形状計測装置 SURFLASER(Unisn 社製;測定精度±0.05 mm)を用い,得られた三次元画像を三次元データ解析ソフト3D-RugleIV(Medic Engineering 社製)を用いて分析する. さらには,得られた顎変形症,歯列不正患者の音声パターンから口蓋裂患者の音声パターンを解析し,異常構音の要因を探れるかの検討、を行い音声視覚化システムの構音治療への応用を目指す.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究に用いる音声解析器が当初の予定より安価で購入できた.その分の余剰を,音声解析システムのバージョンアップ,ならびに解析に用いる音声をより精密に録音するための録音機器購入に用いたい. 年度後半では成果発表にための学会参加費,論文作成のための参考文献収集ならびに英文校正費,論文印刷費として用いたい.
|