本研究では、異常構音発生原因を音声から捉え、自己の発生する音声を視覚的にフィードバックさせながら効率的に構音訓練を行うシステムを構築することを目的としている。前年度までに、口腔内に器質的疾患を認めない正常者の基準パターンを作成し、不正咬合を伴う顎変形症患者の手術前・後の構音を収集・解析し、正常者と比較して、咬合の変化による差異を検討し、学会発表を行った。今年度は、発表した内容について論文を作成し、国内雑誌へ投稿した。投稿した論文は、現在、審査中である。 また、今年度は口蓋裂のもたらす異常構音のパターンを視覚的に捉えるために、音声解析ソフトの開発を行った。口蓋裂のもたらす構音障害は、鼻咽腔閉鎖機能や口蓋化構音、側音化構音など多数存在するため、各構音障害を視覚的にとらえることを目的に、多数の口蓋裂患者の音声収集が必要であった。鹿児島大学病院に通院中の口蓋裂患者の音声を収集し、熊本大学大学院自然科学研究科の上田祐市先生らと協力して音声解析を行った。各構音障害を視覚的にわかりやすく表示するためのパターンを作成中である。
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