研究課題/領域番号 |
23700610
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
薗村 貴弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40347092)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 味覚 / juxtacellular / ブレイン・マシン-インターフェース / 三次元再構築 / 中枢神経 |
研究概要 |
本研究では、味覚ブレイン・マシン-インターフェースの開発に向けた脳内の詳細な味覚地図の作成を目指し、最新の細胞外記録法であるjuxtacellular recording法を用いて、甘味、苦味、酸味、塩味、旨味の5種類の味、それぞれの味刺激を脳に与えながら、標的味覚神経細胞を単一細胞レベルで可視化し、それぞれの味が、どの位置に、どのようなパターンで情報を伝えているのか電気生理学的、すなわち機能的な裏付けのもとで、形態学的な解析を進めている。 初年度である平成23年度は、juxtacellular recording法の新規機器である、細胞外記録装置などの海外製品の入手などに日時を要したため、現在はデータを取得している段階である。現時点では、ラットにおける予備実験で1例の単一細胞記録に成功し、これを明視野免疫組織化学法で形態学的に解析している。作製された標本は、最新のデジタル標本作製システムTOCOを用いて処理され、またこれらをフルハイビジョン24インチの大画面上で、画面を直になぞるだけでトレースできる大型タブレットモニタと、これを解析する三次元再構築ソフトウェアを購入したことにより、従来のように顕微鏡を覗きながら手作業でトレースしたり、トレース用紙をセロテープで繋ぎ合わせて、イメージスキャナーで取り込んだりするような煩雑な行程を行う必要がなくなり、短時間でしかも歪みのない精度の高い神経軸索の形態学的トレースを迅速に進められる環境が整備された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で得られているデータは必ずしも多くはないが、初年としては新規に行う手法の機器の整備に注力するとともに、よりスマートで、労力の節約が期待でき、さらには誤差の少なくなるような情報機器、ソフトウェア等を整備したことで、今後のデータの解析処理時間が大幅に改善されると考えている。3年間の研究期間中の2年目となる平成24年度にこれらの設備で多くのデータを取得できれば、最終年度にはかなりの成果が期待できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で概ね必要な設備は整備された。次年度以降は、研究協力者との議論を深めるとともに、例数を積み上げ、得られる膨大なデータをデジタル化し、さらにこれを精密な三次元再構築を行って、立体的な味覚地図の完成に向けて研究を継続する。また、今後の展開として霊長類での同実験系の応用、さらにはブレイン・マシン-インターフェースの臨床応用に向けた具体的な方策についてその専門家である研究協力者と協議する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は研究協力者との打ち合わせおよび、成果発表における旅費、そこで用いる情報機器、学術誌投稿費、印刷費などに研究費を使用する予定である。
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