本研究では、味覚ブレイン・マシン-インターフェースの開発に向け、脳内の詳細な味覚地図を作成することを目指し、新たな細胞外記録法として確立しつつあるJuxtacellular Recording法を用いて、甘味、塩味、苦味、酸味、旨味ら5種類の味、それぞれの味刺激をラットの舌に与えながら、脳内の標的味覚神経細胞を単一細胞レベルで可視化し、それぞれの味がどの部位にどのようなパターンで情報を伝えているかを、ダイナミックな生理学的な裏付けを確立した上で形態学的解析を進めた。 平成25年度は齧歯類(ラット)での脳内味覚地図を完成させるために、Juxtacellular Recording法とTSA増感法を組み合わせて可視化した。それらをデジタルスライドスキャナTOCOで高解像度の画像を取得した後、ハイビジョン液晶タブレットと三次元再構築ソフトAmiraで三次元的に解析を進めたが、一部軸索終末まで可視化されていない部位も見られるため、さらに高感度で可視化可能なplasmid注入法を検討し、より精密な解析を試行し、データの蓄積を行っているところある。また齧歯類と霊長類の脳内味覚回路はかなり異なることから、味覚BMIの将来的な臨床応用を念頭にいれ、我が国で実験動物化が進んでいる小型霊長類のコモンマーモセットを導入し、ラットと同実験を行える環境を構築中している。
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