股関節内転筋群(恥骨筋:PE,長内転筋:AL,短内転筋:AB,大内転筋:AM)の役割について遺体を用いて調べた。筋形態は筋線維長と生理的横断面積を調べた。モーメントアームは股関節の各運動軸に対して求めた。PE,AB,AM近位部は,短い筋線維と小さな横断面積を有する純粋な内転筋であった。これらは狭い範囲で小さなモーメントを発揮し, 外転筋との同時収縮により関節を安定化させる。ALとAM遠位部は,長い筋線維と大きな横断面積を有し,内転以外に十分な屈曲または伸展成分を内包する。これらは下肢を様々な位置から中間位に戻し維持する役割を有すると考える。
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