研究課題/領域番号 |
23700616
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
笹尾 久美子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (30404932)
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キーワード | 義手 / 上肢機能 / 評価 |
研究概要 |
平成24年度は,前腕能動義手使用者5名(平均年齢47±16歳,全て男性)に, ①試作した評価バッテリー,②イギリスで開発された上肢機能検査The Southampton Hand Assessment Procedure(SHAP),③上肢の運動器に障害をもつ患者の能力低下を自己評価できるThe Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand(DASH),④兵庫県立総合リハビリテーションセンターが考案した筋電義手用ADL評価表のデータを収集した.なお,全被験者は研究参加以前に義手操作訓練を含めた治療が終了しており,ADLは自立し社会生活を送っていた者であった.現在,得られた5名のデータについて分析を行っているが,体性感覚を用いた義手操作に関する項目については,切断肢と非切断肢で差が見られない項目もみられた.これは,被験者の背景(被験者全員が研究参加以前に義手操作訓練を含めた治療が終了している者であること)が影響を及ぼしている可能性も考えられ,今後は健常者のデータや訓練前の義手操作者のデータなどを追加してさらなる検証が必要と考える. また,健常成人41名(平均年齢50.1±20.0歳:22-76歳)にSHAPを実施し,利き手の値を収集した.41名を高齢群(20名、70.0±3.2歳)と若年群(21名,32.0±7.2歳)に分け,SHAP IOF成績等を比較した.その結果,SHAP IOF成績は,高齢群が95.4±3.0点で,若年群の99.2±2.6点よりも明らかに低下しており(p<0.05),日本語版SHAPは英国同様,日本人でも加齢による手指機能の低下を検出できることが確認できた.また,日本の高齢者のSHAP IOF成績は,英国の高齢者の成績(92±2.08点)よりも高値であり,日本の高齢者の手指機能は保たれている可能性が推測された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,前腕能動義手使用者5名から①試作した評価バッテリー,②SHAP,③DASH,④筋電義手用ADL評価表のデータを,健常成人41名からSHAPの利き手の値を収集し,分析を行った.データ数についてはまだ十分とは言えない状況ではあるが,得られたデータの分析を行うことで,さらに検証が必要な項目の把握が行え,次年度の研究につなげることができたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度は,体性感覚を用いた義手操作に関する項目について,健常者や模擬義手使用者のデータを追加してさらなる検証を行う予定である.その後,データの分析を行い,本研究で試作した評価バッテリーの妥当性を検証する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は予定していた人数よりも少ない人数のデータ収集となった.これらにより生じた未使用額については,次年度,体性感覚を用いた義手操作に関する項目のデータ収集の際に,新たに健常者や模擬義手使用者のデータを収集する予定であるので,その際に活用する予定である.
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