研究課題
慢性心不全患者では、労作時の呼吸困難や心臓悪液質による全身の筋力低下により十分な運動が困難となり、QOLの低下や日常生活動作に支障をきたしてくる。重度の心機能障害を有する患者の中には、極度の運動耐容能低下と筋力低下を呈し、十分な運動療法が行えずに要介護の状態に陥ってしまう患者も多く、このような患者に対する有効なリハビリテーションの確立が急務となっている。欧米の先行研究においては、慢性心不全を呈する患者や心移植を待機している患者の下肢骨格筋に対して、神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation;NMES)を施行することにより、筋力、筋持久力、運動耐容能や健康関連QOLの改善が得られることが明らかとなってきた。しかし、重症心不全症例の中には植え込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)、左室補助人工心臓が植えこまれた症例が多く、これらの症例に対するNMESの効果と安全性については未だ明らかではない。平成24年度にはICD埋め込み症例を含む心不全患者に対してNMESを施行し、その安全性に関するデータ解析を行った。その結果、ICD患者に対するNMESはICDの誤作動を惹起することなく安全に施行可能であった。本結果は十分なリハビリテーションが困難なICDやCRT-D埋め込み後患者の筋力やADL、運動耐容能の保持に極めて有用であり、リハビリテーションの一手段として活用できると考えられる。尚、本結果は平成25年の心臓リハビリテーション学会学術集会に演題が採択されており、また現在海外誌への論文投稿を準備している。
2: おおむね順調に進展している
ICD植え込み症例34例に対しての安全性に関するデータを追加し、平成25年度の心臓リハビリテーション学会に報告予定である。また、本件に関する解析を済ませ、現在海外誌への投稿準備をしている段階である。
ICD患者に対するNMESの安全性や効果に関する結果をまとめ、学術集会や国際誌への論文投稿を行う予定である。
本年度の研究費は主に学術集会発表や論文投稿に関連する費用などの成果発表に関する費用を主として計画している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
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