研究課題/領域番号 |
23700627
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
窪田 敦之 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助手 (20569339)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 筋力トレーニング / 血流制限 / 他動的運動 |
研究概要 |
自ら関節を動かすことや筋を収縮させることが困難な状況や、高負荷のトレーニング実施が困難な状況であっても、十分な筋力トレーニング効果が得られる方法の考案は重要である。近年の研究により、低負荷のトレーニングを血流制限と組み合わせることで、高いトレーニング効果が得られることが明らかにされている。また、リハビリテーション機器の開発が進み、一定速度で他動的に関節運動を行うことができる機器が産出されている。これにより、自ら関節を動かすことが困難な状況であっても、安全かつ簡便に他動的運動を行うことができる。しかし、他動的運動では筋肥大や筋力増加を得るには運動負荷が非常に低い。そこで本研究では、他動的運動を血流制限下で行わせることで、筋肥大や筋力増加が得られるのか調査した。大学水泳競技部に所属する男子学生7名を対象に、右脚をコントロール(CON)条件、左脚を血流制限下で他動的に膝関節伸展・屈曲運動を行う(PEB)条件とした。左脚の血流を制限した状態で等速性筋力訓練装置を用い、座位にて膝関節伸展・屈曲運動を角速度毎秒90度で他動的に150回行わせた。セット間の休息は3分間とし、最初の4週間は合計3セットを週3回実施した。5週目からは4セットとし、実験期間は全部で8週間であった。実験前後で、膝関節伸展屈曲筋筋力および筋横断面積を計測した。その結果、8週間の実験後に両条件とも筋力増加がみられたが、膝関節伸展筋筋力においてPEB条件の方がCON条件よりも変化率が高かった。また、筋横断面積においても両条件で実験後の増加がみられたが、膝関節伸展筋群の変化率はPEB条件の方が高かった。以上より、他動的運動を血流制限下で行うことで筋肥大を生じさせ、さらに筋力増加が得られる可能性があることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血流制限下で行う他動的運が筋肥大や筋力増加に有効である可能性は示された。しかし、今回の調査では大学水泳競技部に所属する者を対象としたため、部活動で行われる通常のトレーニングによる影響を無視できない結果となった。今後は、運動習慣のない対象者で調査を行うことと、他動的運動のみでは筋肥大や筋力増加が生じるのか否かについても調査する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
運動習慣のない健常男性を対象に、週3~4回の他動的運動を8週間行わせることで筋横断面積や筋力が変化するのかを調査する。さらにその後、血流制限下で他動的運動を行わせることによる筋横断面積や筋力の変化についても調査し、それらの比較から血流制限下他動的運動の効果を検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
運動習慣のない対象者で調査を行うため被験者協力に対する謝金が必要である。また、国内外の学会に参加および発表することで、血流制限に関する最新の情報を入手し、本計画を遂行する上での問題点等について検討する。さらには、23年度の研究結果をまとめて学術論文として発表する。
|