研究課題
本研究では、簡便で再現性の良い新しい呼吸機能検査法を開発するため、呼吸筋群 (横隔膜、腹壁筋)の誘発筋音図に着目した。本手法は、従来のスパイログラムによる呼吸機能検査法と異なり、皮膚表面から電気刺激を行い、呼吸筋群の誘発筋音図を測定するだけで良い。そのため、被験者に強制呼吸の努力を強いる必要がなく、臨床検査技師の声かけ技術にも左右されないため、正確で再現性の良い呼吸機能検査を実施することが可能となる。本手法は、現在問題となっている長期間の喫煙による慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)の予防、早期発見、早期治療にも役立つことが期待される。本研究の目的は「横隔膜および腹壁筋の誘発筋音図を用いた簡便かつ再現性の良い新しい肺機能検査法の開発」の提案であり、H23年度はその可能性を検討するために、健常者を対象として横隔膜および腹壁筋の誘発筋音図とスパイログラムの各肺機能パラメータ (肺活量、1秒量、1秒率)を測定し、誘発筋音図の有用性について考察したが、測定条件が定まらず、データのバラツキが大きいため、測定データを増やすことが困難であった。H24年度は測定条件の見直しと共に、海外学会 (欧州呼吸器学会)へと研修に行くなど、積極的に研究推進に努力した。最終年度であるH25年度は、帝京大学から名古屋大学に移籍し、環境の変化があったものの、実際に健常若年者と健常高齢者の横隔膜筋音図とスパイロメトリ・呼吸筋指標の比較を行い、その成果がアメリカ呼吸器学会 (ATS2014: American Thoracic Society)のポスター演題に採択されるに至った。また、現在これらの研究結果は、国際学会誌である"Physiological Measurement"に投稿中である。
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Physiological measurement
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