研究課題/領域番号 |
23700633
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
鈴木 誠 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (80554302)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 運動学習 / 経頭蓋磁気刺激 / 相反性抑制 |
研究概要 |
平成23年度の研究では,1)相反的な筋に投射している皮質脊髄興奮性を評価する方法を探索すること,2)反復関節運動による相反性抑制機能の変化を検証することを目的とした. 相反的な皮質脊髄興奮性の評価方法に関する検討では,健常被験者8名を対象とした.まず,橈側手根伸筋および橈側手根屈筋のhot spotを中心とした49刺激ポイントを経頭蓋磁気刺激(TMS)による安静時運動閾値の120%強度で刺激して各筋の運動誘発電位(MEP)を基に描出された運動野マップのcenter of gravity(CoG)を算出した.次に,橈側手根伸筋のCoG,橈側手根屈筋のCoG,橈側手根伸筋と橈側手根屈筋のCoGにおける中点において,安静時運動閾値の80-170%の刺激強度にてMEPのinput-output(IO)curveを求めた.その結果,TMSによって誘発された相反的な2筋における運動野マップは異なる領域を構成しつつもオーバーラップしており,各筋のCoGにおいて誘発されたIO curveとCoGの中点において誘発されたIO curveに有意な相違を認めなかった. 反復関節運動による相反性抑制機能の変化に関する検討では,健常被験者10名を対象とした.反復関節運動には,LED信号を合図に素早く手関節を伸展する運動を用い,運動の前後で橈側手根伸筋と橈側手根屈筋のCoGの中点におけるMEPのIO curveを求めた.その結果,反復関節運動後に橈側手根伸筋におけるIO curveの傾きが増加し,橈側手根屈筋におけるIO curveの傾きが減少した. 平成23年度の実験により,TMSよって誘発された相反的な2筋における運動野マップは,異なる領域を構成しつつもオーバーラップしており,両筋を同時に刺激する最適刺激部位が存在した.また,反復関節運動によって相反性抑制の神経機能が変化することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の予定であった反復運動練習に伴う運動誘発電位の相反的変化を明らかにすることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究では,paired associative stimulation(PAS)が相反性抑制機能に及ぼす影響を明らかにする.それによって,PASが反復関節運動前のコンディショニング刺激を提供する効果的なリハビリテーション・ツールとなり得るか否かを検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
Paired associative stimulationに伴う物品費および消耗品費,研究成果を学会にて報告するために出張旅費,被験者謝金,研究結果を論文発表するための英文校閲費の執行を予定している.
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