研究課題/領域番号 |
23700641
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
渡邊 晶規 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 講師 (60460549)
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キーワード | 拘縮 / 関節構成体 / 病理組織 / リハビリテーション / ラット |
研究概要 |
本研究は、実験動物ラットを用い、不動による関節拘縮の発生とその進行による関節構成体の変化を、形態・組織学的側面から明らかにし、その上で、関節拘縮に対する治療を加え、その効果を上記と同様の側面から検討することを目的とした。 平成24年度には昨年度までに確定した条件を元に、関節包に対するストレッチ(モビライゼーション)の効果を検討した。ラット膝関節を屈曲位にて8週間ギプスにより不動化させた拘縮モデルに対し、モビライゼーション(関節包の伸張)を加える場合とストレッチ(単純な骨運動)を加える場合、あるいは無処置での拘縮の改善の程度を角度及び組織学的に検討した。 この結果、膝関節伸展制限角度および後部関節包の厚さには明らかな差は認められなかったものの、後部関節包の密度においてはモビライゼーションを加えた場合で減少を示し(疎な組織像を呈し)、無処置に比べて明らかに正常な組織に近づくことが確認された。ストレッチの場合に置いても改善を示したが十分ではなかった。関節包組織の改善には、モビライゼーションが有効である事が明らかに出来たが、今後、組織レベルでの観察とあわせて関節運動の抵抗や遊びの程度など機能的な側面からもあわせて検討し明らかにしていく必要がある。また8週間の不動により、関節内では関節軟骨とその周囲組織との癒着が観察されるが、それに続く8週間の再可動期間により、それらは改善を示した。この改善は治療介入を行わない場合にも観察され、このことは予想外であった。この結果は可動域制限に対する治療として受動的な運動のみならず、自動的な運動が如何に重要である事を示唆したものと考えられた。 以上の事は、拘縮に対する治療として頻繁に用いられているモビライゼーションの効果を組織レベルで明らかにした点で新規的であり、拘縮治療のエビデンスの一角を担う重要なものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療介入として追加して行う予定の物理療法に関して、その具体的な条件が十分に検討できていないため。特に超音波刺激に関しては出力と導子の当て方および関節内の温度の測定について難渋しており、十分な予備実験が出来ていないため。
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今後の研究の推進方策 |
物理療法介入の方法を継続して検討し、場合によっては計画を一部変更し、昨年度まで に実施した治療方法の条件を広げた形で拘縮治療の効果を検討する。また免疫染色についても一部抗体を変更して実施し、結果を多角的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物、研究試薬等の研究消耗品を中心に使用する。また成果報告のために一部使用を予定している。
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