研究課題
現在、脳卒中麻痺側上肢への機能訓練として様々な手法が報告されている。今回、初発脳卒中患者201名を対象に訓練方法の適応基準を検討した。研究期間中に拒否や注意障害、状態悪化により訓練の持続が困難であったものは除外し、最終的な分析対象は153名であった。なお、今回の研究を進めるにあたり、当院の倫理委員会に研究計画書を提出し、その承認を得ている。麻痺側上肢に、ミラー療法(MT)、随意運動介助型電気刺激(IVES)、治療的電気刺激(TES)、促通反復療法、通常訓練(対照群)の5 群をランダムに割り当て、訓練時間のうち20分間で入院から4 週間、割り付けた訓練を行った。評価項目はFugl Meyer Assessment(FMA)上肢項目、肩関節屈曲・外転・手関節背屈自動運動角度、FIMで入院2日目(開始)、28日目(4週)に計測を行い効果を検討した。検討方法は4週後のFMA上肢項目を目的変数とし、年齢などの基本情報、訓練手技と開始時の評価項目を説明変数とし決定木分析を行った。訓練手技の違いがFMA上肢項目全体へ与える影響として、FMA手指が3点以下でFMA肩/肘が3点以下、FIM認知が20点以上の場合、MTやIVES、促通反復療法が選択された。FMA肩/肘が3点以上の場合もMTやIVESが選択された。FMA肩/肘へ与える影響として、FMA肩/肘が2点以下、FIM認知が19点以上の場合、TES、MTが選択された。FMA手関節/手指に関しては、FMA手関節/手指1点以上の場合、IVESが選択され、FMA手関節/手指1点以下の場合、MTが選択された。麻痺が軽度の場合は、訓練手技が選択されなかった。麻痺が重度である場合、MTが効果的である可能性が示唆された。また、わずかでも随意収縮が認められる場合、IVESや促通反復療法などの治療テクニックが効果的である可能性が考えられる。
2: おおむね順調に進展している
研究の目的は、治療的電気刺激と促通反復療法の併用効果を明らかにすることである。現在までに、治療的電気刺激、促通反復療法を含めた5つの異なる訓練方法の治療効果についてランダム化比較対照試験にて検討を行っている。今回の研究目的である治療的電気刺激と促通反復療法を併用した治療群を新たに設定し、治療効果を検討する。なお、今年度集積した治療データとの比較検討も可能である。
治療的電気刺激と促通反復療法の併用方法を新たな治療群として設定し、ランダム化比較対照試験を実施する予定である。症例数が少ない場合に備え、即時効果の検討として、表面筋電図を使用し、効果判定を行う予定である。
次年度もランダム化比較対照試験の実施を継続していく予定。新たな治療群として、治療的電気刺激と促通反復療法を併用するため、電気刺激装置の購入を考えている。また、研究成果を報告するための出張費、データ管理のためのパソコンや周辺機器を購入する予定である。
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作業療法ジャーナル
巻: 46 ページ: 286-291
Jpn J Compr Rehabil Sci
巻: 2 ページ: 31-35
巻: 2 ページ: 71-76
http://www.fujita-hu.ac.jp/FMIP/