麻痺側上肢の機能回復訓練において、随意運動介助型電気刺激(Integrated Volitional control Electrical Stimulation: IVES)または促通反復療法が、どのような患者に効果的かを検証した。 今回の研究に同意した初発脳卒中患者131名を対象とし、脳卒中麻痺側上肢に、Mirror Therapy(MT)、IVES、治療的電気刺激(Therapeutic Electrical Stimulation: TES)、促通反復療法、通常訓練の5つの異なる訓練方法をランダムに割り付け、1日20分、4週間の介入を行った。4週後のFugl-Meyer Assessment(FMA)上肢運動項目合計点を目的変数とし、年齢、発症後期間、訓練方法、入院時の上肢機能評価項目を説明変数とし決定木分析を行った。FMA手指が3点未満で、かつFMA肩・肘が3点未満では、MT、TES、促通反復療法が選択された。また、FMA手指が8点以上で、かつFMA手関節が8点未満では、通常訓練以外の訓練方法が選択された。回復期段階の脳卒中患者のリハビリ方法決定の一助として今回の決定木の論理を利用しうると考えられる。 また、5つの訓練方法と年齢や発症後期間などの訓練開始時の状況が、麻痺改善に与える影響について検討した結果、訓練開始時の肩関節屈曲自動運動角度(ROM)が60度以下で年齢が65歳以上の場合、通常訓練に比べMTで有意な改善を認めた(p<0.05)。また、訓練開始時の肩関節屈曲ROMが60度以下で発症後期間が31日以上の場合、通常訓練に比べてIVESで有意な改善を認めた(p<0.01)。訓練開始時の手関節背屈ROMが30度以下で手関節屈筋群のMASが筋緊張正常・軽度亢進例では、通常訓練に比べてIVESで有意な改善を認めた(p<0.05)。
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