研究課題
平成24年度はラット足関節を最大底屈位にて4週間ギプス固定を行い、固定終了後の骨格筋加温が筋損傷と疼痛に及ぼす影響を検証した。骨格筋加温はギプス除去直後から2週間実施し、群設定はギプス固定を行わず通常飼育を行う対照群、ギプス固定のみを行う固定群、ギプス固定を行いギプス除去後に骨格筋加温を行う加温群の3群とした。行動学的検討は腓腹筋の筋圧痛閾値をRandall-Selitto装置を用いて測定し、足底の触刺激による逃避反応閾値をvon Frey hair testを行って測定した。組織学的検討は実験期間終了後に腓腹筋を採取して壊死線維の割合を計測した。その結果、固定群では対照群に比べ腓腹筋の筋圧痛閾値と足底の触刺激による逃避反応閾値が低下し、壊死線維の割合は高値を示した。一方、骨格筋加温群は固定群に比べて壊死線維の割合が低値を示したが、腓腹筋の筋圧痛閾値ならび足底の触刺激による逃避反応閾値には群間に差を認めなかった。以上の結果から、ギプス固定後の骨格筋加温によって筋損傷はある程度軽減できるが、筋痛や感覚過敏は軽減できないことが明らかとなった。以上の結果をまとめると、ラット足関節を4週間ギプス固定することで腓腹筋の筋圧痛閾値や足底における逃避反応閾値が低下することが確認され、廃用性筋萎縮による筋痛の発生状況と実験モデルの有用性が明らかとなった。また、固定除去直後より廃用性に萎縮した骨格筋に骨格筋加温を実施することで筋損傷をある程度抑制できるが、筋痛については抑制できないことが明らかとなった。このことから、廃用性筋萎縮による筋痛は筋損傷に由来するものではなく、不動に伴うその他の要因(神経系の可塑的変化など)に由来したものであることが推測された。
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理学療法
巻: 30巻 ページ: 217-226
巻: 29 ページ: 795-802
理学療法科学
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