研究課題/領域番号 |
23700648
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
大歳 太郎 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (40336483)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 広汎性発達障害 / 自閉症 / 発達障害 / 協調運動 / 絵カード / 視覚優位 / タッチパネル / 作業療法 |
研究概要 |
本研究の目的は,広汎性発達障害児に対して,動画シンボルをタッチパネル式携帯型パソコンに取り入れた手順支援ソフトを作成し(平成23年度),重症度別,精神発達年齢別における動画シンボルのマッチング課題(手順の理解)により適応年齢を検討し,さらに協調運動の評価で能力別に分類することにより,各カテゴリー内の特徴と各カテゴリー間の関連を検討し(平成24年度),3カテゴリーの特徴を踏まえて新たにカテゴライズした群別における経時的介入をとおして,視覚優位な特徴をいかした協調運動改善プログラムを開発することである(平成25年度)。 本年度は,1.日常で行う活動である「線引き」「はし」「直線歩行」「継ぎ足歩行」の手順支援を作成し,定型発達児と広汎発達障害児に予備的に実施し,当該方法が理解可能であり使用できるか否かを検討すること,2.各市町村の保育園や幼稚園の気になる子どもの実態を調査することで,集団内でも実施可能か否かを検討すること,とした。 結果,1.手順支援の作成について,(1)「直線歩行」や「線引き」課題は日常で経験があるため,年齢が低くても手順支援を確認しながら模倣することができる,(2)「はし」は年齢に応じて把持形態を数パターン用意する必要があることや,自助具を用いたパターンも必要なこと,(3)「継ぎ足歩行」では,協調運動の問題のため困難なケースと理解が難しいためできないケースが見られたため,より工程を細分化し,手順を踏んで提示する必要があることが示された。2.保育園・幼稚園における気になる子どもについて,「対人関係」「言語」「生活環境」「あそび・運動」「その他」の5カテゴリー30項目の合計得点を調査した結果,合計得点が 3.2点以上あると,保育士・幼稚園教諭が「ちょっと気になる子ども」と感じることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度当初は,手順支援の課題の内容と提示方法について精査し選択した。それらを工程ごとに分類し,精神発達年齢が低くても使用できる内容を盛り込むように配慮して手順支援を作成した。 予備的に対象児に実施した結果,難易度の低い課題,高い課題ともにマッチングは可能であった。しかし,手順支援を見て児が動作を行うためには,難易度の高い課題は,理解ができずできない児,理解はできているが提示が速すぎて模倣ができない児,理解はできているが協調運動能力の未熟さでできない児に分類された。この結果を踏まえ,手順をより細分化することや児に対する提示時間を再検討した。この点に関しては,提示時間を数パターン用意することで解決することができた。 これらのことから,現在までの達成度について,おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度において,4つの手順支援を作成した。昨年度予算が当初予定よりも下回ったことは,新たな研究協力施設を近隣で確保できたこと,及び業者への依頼を次年度以降に回したためである。 本年度は,難易度の高い新しい課題を年度当初に作成し予備調査を行う。使用が可能なことを確認した後,作成済みの4つの課題と合わせて対象児に実施する。さらに,精神発達年齢及び協調運動の評価も,数回に分けて実施する。 データ収集の時期について,児の能力を最大限に発揮できると思われる夏休み期間(7,8月)に実施する。検査・測定内容が,精神発達年齢,マッチング課題,協調運動の評価と多岐にわたる。そのため,児の状況に応じて,数回に分けて検査・測定を実施する。また,対象児の負担を減らし研究を円滑に実施するために,データ収集の際には大学院生及び学生を一時的に研究補助者として雇用する研究体制をとる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の主要な研究費は,調査旅費,謝金,成果発表旅費である。 備品については,従来備品よりも精度の高い9軸加速度センサとタッチパネルPCを購入済みである。一部インターフェイスが必要なことから,これに関連する費用を計上する。 旅費は,データ収集における交通費,及び国内での成果発表旅費である。 謝金は,データ収集における対象児及び研究補助者への謝礼である。特に本年度はデータ収集を多施設で実施するため,調査旅費と謝金が研究費の主要部分を占める。
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