立位にて、身体を随意的に前方または後方へ傾斜させるという動作の準備状態が、傾斜の程度および向きによって、どのように変化するか検討した。若年者では、立位での身体傾斜のための運動準備と反応刺激に対する注意に関する脳活動が、傾斜の程度と向きに関わらず、一定であることが示唆された。高齢者では、立位の平衡が乱れる最前傾付近へ傾斜する場合には、安静立位位置付近へ傾斜する場合よりも、運動準備と予測的注意に関する脳活動が高まることが示唆された。高齢者では、上述した脳活動が若年者よりも早期化していた。脳卒中の既往を有する者については、被験者数が4名と少ないため、今後、被験者数を増して検討する必要がある。
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