平成23年度計画は、表面筋電図計の製作と予備実験、を行い、平成24年度は計画は、健常者の筋電位データの集積分析、筋電義手使用者の筋電位データの集積分析を計画し、その研究成果のまとめと課題の抽出を行った。 表面筋電図計の製作と予備実験は、乾式8電極筋電位採取装置を作成した。その内容は、筋電電極をOttobock社製の乾式電極8個を使用し、Renesas technology corporationマイクロプロセッサ、RS-232C(D-Sub9)出力インターフェースを搭載した筋電位処理装置を作成、さらに筋電位データをPCで処理して予備実験を行った。 健常者および切断者を対象とした筋電位データ分析では、健常者のべ52名(男性25名、女性27名)、上肢切断者2名を対象とした。平成23年度は筋電義手ハンドのコントロールに最も適した筋の箇所を選定することとその筋電位特性を解明することを目的に実験を行い、平成24年度は、肘関節の角度の違いによる筋電位特性を解明することを目的に実験を行った。具体的には、手関節屈筋群では尺側手根屈筋、手関節伸筋群では橈側手根伸筋が最も適した筋であり、それぞれの筋上に電極を5つ設置して実験を行った。結果、尺側手根屈筋では、尺側手根屈筋の最大筋電位の採取位置は、前腕部最大周径位置より、27mm位部であり、橈側手根伸筋では、前腕部最大周径位置より、54mm遠位部となった。また肘関節屈曲角度の増加により筋電位の発生も増加することが分かり筋電義手トレーニングの筋電電極位置の特定に至った。また、切断断端を収納するソケット作成においても問題ない箇所であることがわかった。これは、上肢切断者の筋電義手トレーニングにおいて、効果的かつ効率的なリハビリテーションを行う上での貴重な指標となりえることが期待できる。さらに模擬義手による実験を行い更に臨床応用へ繋げる必要性が高まった。
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