維持期脳卒中患者の摂食・嚥下障害を改善する摂食・嚥下リハビリテーションに関する報告は少ない.摂食・嚥下障害を有する維持期脳卒中患者に対し頭部挙上訓練を実施すると誤嚥が減少するという報告があるがその詳細なメカニズムは明らかではない.そこで、頭部挙上訓練が嚥下機能を改善するメカニズムを検討する目的で、摂食・嚥下障害を有する維持期脳卒中患者に対し頭部挙上訓練を行い嚥下造影検査、嚥下内圧検査による結果を訓練実施前後で比較した.その結果、訓練実施後の嚥下内圧は訓練実施前と比較し統計学的に有意に上昇していたが、嚥下造影検査の画像解析の評価においては変化を認めなかった.維持期脳卒中の摂食・嚥下障害に対する頭部拳上訓練は嚥下内圧を上昇させ、嚥下機能を改善する可能性がある.
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