研究課題/領域番号 |
23700662
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二瓶 美里 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20409668)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 福祉用具 / 支援機器 / 移動支援機器 / 車いす / 高齢者 |
研究概要 |
自発的な移動能力の獲得は、身体・心理両面において効果があり、要介護高齢者の身体機能の低下に伴う活動意欲の低下の悪循環を防ぐ上で重要である。本研究では、手動車いすを使用するレベルの要介護高齢者を対象とし、操作性が高く、適度な身体運動で操作が可能な手動車いすの駆動動作を利用した触れる程度の力で安定した操作が可能な大型タッチパッド式インタフェースを有する電動車いすを開発した。次に今年度の実績概要を示す。(I)車いす駆動運動の分析とインタフェース形状の検討:手動車いすの駆動動作が身体機能維持に及ぼす影響を調べ、また、高齢者の車いす駆動動作の分析結果を基にインタフェース形状を決定した。具体的には、手動車いすの駆動動作を三次元動作計測装置および筋電計で計測し、それらの関節可動量や筋活動量と二次障害などの問題について整理した。インタフェース形状については、高齢者の駆動動作と身体寸法データベースを基に分析を行い、数種類のモックアップを用いて比較検討を行った結果、左右のアームサポートに取り付けることができる形状を機能モデル形状として決定した。(II)操作インタフェースおよび電動車いすの開発:タッチパッド式操作インタフェースの開発および性能評価を行った。操作インタフェースは静電容量式(CSD方式)で、操作者が触れた部分の位置・変位・速度を基に3つのモードとして操作系に利用可能なインタフェースである。また、駆動系と統合し、速度操作モードについては、慣性走行モデルを組み込んだ車両モデルを作製した。さらに、電動車いすの機能評価および高齢者による試乗評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(I)車いす駆動運動の分析とインタフェース形状の検討(95%)車いすの駆動運動の分析および操作インタフェース形状の検討、決定は概ね順調に進んだ。高齢者・健常者数名による手動車いす操作時の動作分析を行い、それらの特徴的な動作を明らかにした。これらの結果から、動作特性のさらなる分析と、ユーザビリティや安全性向上のためのデザインを検討する必要があるなど新たな課題が明らかになった。(II)操作インタフェースおよび電動車いすの開発当初の予定より早く機能(原理)モデルが完成し、機能評価や試乗評価ができたため、研究計画を修正し、開発した機能モデルを用いて身体運動学的な観点から評価を行った。また、予定より早く障害のある想定ユーザによる試乗評価を実施することができた。その結果、臨床場面に導入可能なデザインモデルへと改良する目途が立ったため、改良機の製作を検討することにした。
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今後の研究の推進方策 |
(I)車いす駆動運動の分析とインタフェース形状の検討動作特性のさらなる分析と、ユーザビリティや安全性向上のためのデザインを検討する。(II)操作インタフェースおよび電動車いすの開発臨床場面に導入可能な改良機(デザインモデル)の開発およびその機能評価、安全性の評価を行う。(III)開発したシステムの妥当性検証実用場面における想定対象者による予備的な介入評価、身体機能の維持における貢献やユーザビリティの評価、既存機器(パワーアシスト車いす)との比較実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
改良(デザイン)モデル製作費、システム改良、実験および成果発表のための旅費、被験者謝金、アルバイト謝金および運搬費として物品費1000,000円、旅費50,000円、謝金100,000円、その他運搬費や謝金として50,000円が必要である。
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