研究課題/領域番号 |
23700662
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二瓶 美里 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20409668)
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キーワード | 福祉用具 / 支援機器 / 移動支援機器 / 車いす / 高齢者 |
研究概要 |
自発的な移動能力の獲得は、身体・心理両面において効果があり、要介護高齢者の身体機能の低下に伴う活動意欲の低下の悪循環を防ぐ上で重要である。本研究では、手動車いすを使用するレベルの要介護高齢者を対象とし、操作性が高く、適度な身体運動で操作が可能な手動車いすの駆動動作を利用した触れる程度の力で安定した操作が可能な大型タッチパッド式インタフェースを有する電動車いすを開発した。次に今年度の実施概要を示す。 (I)車いす駆動運動の分析とインタフェース形状の検討: 高齢者15名を対象とした直進操作特性の把握実験を行い、関節可動域や運動特性と操作時に生じる左右差について検討を行った。また、その結果をもとに、高齢者の手掌における動的識別能力の把握実験を行い、感覚フィードバックを生じさせる付加機能を提案した。 (II)操作インタフェースおよび電動車いすの開発: 試作した静電容量式センサを改良した。また、(I)で明らかになった高齢者の操作ストローク特性に基づいて、制御アルゴリズムを改良し、簡易シミュレータによる有効性の検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(I)車いす駆動運動の分析とインタフェース形状の検討(100%) 車いすの駆動動作の分析および操作インタフェース形状の検討、決定は概ね順調に進んだ。高齢者・健常者数名による手動車いす操作時の動作分析を行い、それらの特徴的な動作を明らかにした。さらに、高齢者15名を対象とした操作実験および駆動動作の分析を行い、その結果をもとに、ユーザビリティ(操作し易さ、取り扱いやすさ)およびインタフェース形状のコンパクト化を追加の要求機能として決定した。 (II)操作インタフェースおよび電動車いすの開発(80%) 操作し易さを向上させるため、高齢者の手掌における動的識別能力の把握実験を行い、操作感覚をフィードバックさせる付加機能として、操作性の向上を見込める凸線フィルムを提案した。また、直進生操作特性の把握実験を行い、関節可動域や運動特性と操作時に生じる左右差について検討を行い、制御アルゴリズムを改良し、簡易シミュレータによる有効性の検証を行った。さらに、臨床現場での取り扱いを考慮し、開発した機能(原理)モデルをベースに、取扱い易くするための基板のコンパクト化を行った。基板の改良を実施したため、デザインモデルの製作は次年度引き続き行う。
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今後の研究の推進方策 |
(I)車いす駆動運動の分析とインタフェース形状の検討 さらなるユーザビリティや安全性向上のための追加機能や形状を必要に応じて検討する。 (II)操作インタフェースおよび電動車いすの開発 今年度までに開発したインタフェースをもとに、臨床場面に導入可能な改良機(デザインモデル)の開発およびその機能評価、安全性の評価を行う。 (III)開発したシステムの妥当性検証 実用場面における想定対象者による予備的な介入評価、身体機能の維持における貢献やユーザビリティの評価、既存機器との比較実験等を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
デザインモデル製作費として物品費456,943円が必要である。
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