研究課題
現在、日本には2万1千人を超える筋委縮性側策硬化症(ALS)患者がいる。ALS症は自律神経や知覚神経は侵されないので、患者の意思は病状末期でも明確である。しかし、ALS症は、体を動かすための神経系が侵されるため言語、非言語コミュニケーションが非常に困難である。そこで病状末期においても比較的最後まで随意運動が残る眼球運動を応用したコミュニケーションツールの開発が求められている。本申請研究は、ALS患者や四肢麻痺患者を対象とし、眼電位を用いた自由度の高いパーソナルコンピュータのマウスカーソル制御装置の開発を行った。本申請研究で開発した装置は、顔に電極を4つ固定するゴーグルと腕に1つ電極を用いて、従来の方法より目から遠い位置に安全に電極を固定して眼電位を計測することを可能にし、瞬き等の筋電位を除去することで確実に眼球変化を推定することを可能にした。また、眼電位の直流成分と交流成分の両方を扱うことで、眼電位の問題点であったドリフト現象の問題を低減し、長時間連続使用を可能にした。本申請研究で開発したアルゴリズムにより、目線の左右識別率は99%、目線の上下識別率は80%以上を実現し、その他はほぼリジェクト率であることより、実用レベルの性能を得ていると考えている。本申請研究で開発したマウスカーソル制御装置を用いて、ブラウザや文章作成ソフトを制御することに成功している。また、開発した装置を使用した際の操作性・ストレスを定量的に健康ボランティアを被験者として評価実験を行い、使用するための条件を明確にした。本申請研究のシステムでは、対象となるモニターのサイズには大きく制御性能は依存しなく、個人差はあるが3日間の練習で熟練者と同様の制御が可能であることがわかった。また、筋電位信号のみで制御をするよりかはストレスが高いものの、眼電位信号を用いた場合でもほとんどストレスを被験者は感じていないことがわかった。
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