研究課題
脳卒中片麻痺患者の歩行リハビリにおいて,理学療法士により患者を正常な歩行動作へ誘導するハンドリングという介助が行われている.近年,ロボットを用いた歩行訓練の様々な研究開発が行われ,その成果の一部が実用化されつつあるが,理学療法士が行なっているような患者の状態や個人差に応じた介助を,いかにロボットで実現するかは,共通の大きな課題である.本研究では,理学療法士の行うハンドリングの動作解析を行い,その特徴を工学的に解明することで,患者の状態や個人差に応じた介助を,ロボットを用いた歩行訓練で実現できるようにすることを目的とする.本研究では,ロボット制御という工学的応用の観点から理学療法士のハンドリングの動作解析を行い,その特徴を明らかにしたことに工学的意義がある,また,本研究は,歩行リハビリにおける量的な訓練の一部をロボット等の訓練機器により補助することに役立てられるものであり,理学療法士の負担の軽減や患者の訓練時間の増加というリハビリの質の向上につながる点に,本研究の医学的意義がある.研究期間全体を通じ,理学療法士のハンドリングの動作解析・力学モデルの構築と評価を行った.特に最終年度は,理学療法士のハンドリングの動作解析に向けた計測精度の向上と初年度に提案した力学モデルの適用範囲の拡張を試みた.まず,ハンドリングの動作解析に向けた計測精度の向上に関しては,理学療法士の手に装着する市販のセンサでは,動作を阻害せず,高精度に力を計測することが困難であったのに対し,患者に装着する形の自作の力計測デバイスを試作することで,それらの課題を解決した.次に,提案した力学モデルの適用範囲の拡張に関しては,初年度は,患者が歩行訓練時に定常歩行できている状態をモデルの対象としていたのに対し,バランスを崩す動作があった場合もモデルの対象とした.模擬片麻痺者による評価では,モデルの精度の向上が示された.
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Advanced Robotics
巻: vol.26, no.11-12 ページ: 1253-1569
DOI:10.1080/01691864.2012.689724