研究課題
嚥下の際に発生する嚥下音に対してspectrum analysisを用いた周波数解析を実施した。周波数の帯域では、正常嚥下と誤嚥を引き起こすような異常嚥下の特徴が検討できた。方法としては、嚥下機能のスクリーニングとして多用されているMWST(Modified Water Swallow Test) の手法に基づき、3mlの冷水を随意的に嚥下させる事とした。嚥下音声を集積するためにCardio Microphoneを輪状軟骨直下の気管外側に装着し、Powerlab (ADINSTRUMENTS 社製 ML142GP)を介してパーソナ ルコンピュータにデータ化して取り込んだ。嚥下に発生する咽頭運動の開始から終了までの音声をサンプリングする為に、超音波画像診断装置を用いて咽頭部全体を描写し運動範囲を特定した。手法としては、リニアプローブ(HFL38/13-6)を甲状軟骨外側から後内側方面に向けて固定し咽頭全体を撮影した。Powerlabにて取り込んだ嚥下音声データと、同 期した Video Capture の画面から視覚的に咽頭運動の開 始と終了を確認し、咽頭運動における嚥下音の範囲を特定した。咽頭運動のみの嚥下音声データにSpectral Analysisにて1変量の高速フーリエ 変換を行い平均周波数の算出を行った.平均周波数の結果は、誤嚥者では15.2±3.2Hz、正常者では41.2±5.2Hzであり誤嚥を認める異常者は低い帯域を示す特徴が認められた。異常者の中でも疾患特性が認められ、脳血管障害を基礎疾患とする誤嚥者は24.2±2.8Hz、脊髄小脳変性症などの神経難病を基礎疾患とする神経難病とでは11.8±4.7Hzと疾患特性が観察された。本研究にて実施した嚥下音声データによる周波数解析は、誤嚥を示す特徴的な周波数帯域の傾向を疾患別に判別することが出来るものになった。
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