研究課題/領域番号 |
23700675
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
谷田 惣亮 佛教大学, 保健医療技術実習センター, 講師 (20584494)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 機会力学・制御 / リハビリテーション |
研究概要 |
本研究の目的は,これまで開発してきた足関節のブレーキトルクをインテリジェントに制御可能な制御型短下肢装具(i-AFO)に対し,歩行速度に合わせた適切なブレーキトルク制御入力をすることにより,歩行速度に応じた最適な歩容の制御を実現することである. そのため,本研究では以下の項目について順に研究を実施している.(1)i-AFO用の調整可能なアタッチメントを開発する.(2)健常者歩行における歩行速度と足関節動作の関係を計測する.(3) 上記(1)の結果から標準モデルを作成する.(4)上記を使用することによって複数の健常者にi-AFOを装着し,提案モデルの有効性を検証する.(5)上記モデルの障害者により検証する.平成23年度の研究においては,主に上記の(1)~(3)を実施した.(1)については,多数の被験者に対する歩行計測実験を容易に実現するための調整可能な計測用装具を実現した.ここで開発した調整機構は,平成24年度におけるi-AFOへ応用予定である.(2)については,上記の調整可能計測用装具(足関節角度計測用のポテンショメータ,および接地判定用のフットスイッチを含む),Microsoft Kinect,およびトレッドミルによる簡易歩行計測システムを開発し,健常な男性被験者7名による歩行計測実験を行った.トレッドミルの歩行速度を1.0km/hから4.0 km/hまで0.5 km/h刻みで設定し,それぞれの歩行速度における立脚初期底屈時間,立脚初期底屈速度,歩幅および歩隔を計測した.(3)については,上記(2)の実験結果から,(1)立脚初期底屈時間は歩行速度の依存性が低く,約50ミリ秒である,(2)立脚初期底屈速度と歩行速度の間にはおおよそ比例関係がある,(3)歩幅と歩行速度の間には大きな相関があること,等が明らかとなり,標準モデルの基礎情報を得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示すように,23年度は目的達成のための,項目(1)~(3)までをおよそ実施できている.これらの研究実績により,24年度に実施するi-AFOの開発と歩行速度に応じた足関節底屈制御のモデル化へと研究を進めることができる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として,研究実績の概要に示した項目(4),(5)を実施する.まず,開発した調整アタッチメントを組み合わせたi-AFOを複数の健常被験者に装着し,提案する制御モデルの評価を行う.検証には動作解析を行い,制御の有無による歩容の違いを検証する.結果をもとに,モデルの修正も行う.また,i-AFOのブレーキ部分の製作を追加し,改良した装具を製作する予定である.最終的には,提案する制御モデルを障害者に適用し,その効果を臨床評価する.評価には,現有の動作解析装置を用い,下肢関節角度等の計測項目より,歩行状態の改善を客観的に実証する.対象者としては脳卒中片麻痺患者や神経筋疾患患者,末梢神経損傷等による足関節弛緩性麻痺の罹患者とする.
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は,i-AFO用の調整可能なアタッチメントを開発し製作したが,その費用の差額が生じたこと,また,製作のための旅費等の費用の残額があったため,次年度に繰り越して使用する.24年度は,制御型短下肢装具(i-AFO)の開発・改造と制御機構の修正のための費用を計上する.特に,i-AFOのブレーキの製作を追加し,これに次年度使用額の一部を充当する予定である.また,i-AFOの検証のための,被験者への実験協力謝金および移動等の旅費,さらに計測機器の費用として計上する.さらに,実際の障害者への謝金および旅費等に研究費を使用する予定である.
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