研究課題/領域番号 |
23700689
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
和坂 俊昭 生理学研究所, 統合生理研究系, 特任助教 (60390697)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 脳磁図 / 感覚運動統合 / 視覚 / 体性感覚 / 運動主体感 |
研究概要 |
我々は「自己の運動」を媒体として外界に働きかけを行っている。その運動をうまくコントロールするためには、運動情報と感覚情報の統合が重要である。そこで本研究では、運動の制御における感覚運動統合過程に関わる神経機構を脳科学的手法を用いて解明することを目的として、自己が主体となって「運動」を行っている時の身体部位の自己認識(コントロール感)に関連する神経基盤を明らかにするものである。 運動のコントロール感には、運動指令から計算される感覚情報のフィードバックの予測と、実際のフィードバックとの誤差が重要である。 本研究では、Mirror Boxを用いて、運動を行っているときに予測していた身体部位の運動に関する情報とは異なる視覚情報のフィードバックする条件を設定して、その時の脳活動を脳磁図で計測した。実験の結果、運動中に意図した身体部位の運動とは異なる視覚情報が提示されたとき、二次体性感覚野、島皮質、頭頂葉の活動に変化がみられた。頭頂葉は視覚と体性感覚の統合する脳部位であり、島皮質は自己の運動の主体感に関与する脳部位であると報告されているが、本研究から二次体性感覚野も同様の機能を持つことが明らかとなった。 二次体性感覚野は、運動の制御や学習に対して重要な働きを担うことが示唆されているが、その機能については未だ不明な点が多く残されている。そのため、運動制御における二次体性感覚野に注目し、引き続きその働きを解明するための研究を進めて行きたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、初年度に計画した実験はほぼ終了しており、データ解析と論文の執筆を行っている。さらに平成24年度に計画している実験に関しては、予備実験を始めている。研究成果は平成23年度の学術集会で発表するとともに、学術論文として一編が掲載されている。またもう一編も掲載が予定されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、現在解析中の実験データを学術論文に投稿する予定である。さらに、平成24年度に計画している研究課題の予備実験も開始している。 残された研究期間があと一年であるため、平成24年度は実験とデータ解析を並行して進め、学会発表や論文投稿で研究成果を積極的に発表して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は実験が中心であったため、予定していた解析用コンピュータとソフトウェアの購入が遅れていた。これらの機器は、平成24年度初頭に購入する予定である。実験に使用する消耗品や実験データのバックアップ用の機器も購入予定である。 国内外の学会や研究会に積極的に参加して、これまでの実験結果を公表する予定である。
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