研究概要 |
本研究の目的は、18世紀フランス語圏における「体育」に関係するテクストに着目して、当代における「体育éducation physique」の意義を、主に文献学的な手続きをとおして明らかにすることにあった。 最初の作業として、当代を代表する体育論と目される『エミール』を題材として「physique」に関する「教育 éducation」論の分析を行い、23年度中に学術学会誌に原著論文として投稿した。本論文は、「教育」に関する「physique」の意義を、「身体corps」との対比で浮き彫りにするものであり、本年度になって、「体育学研究」第57巻第2号に掲載された(査読あり)。 また、「体育」の最古級の用例が認められるラ・シャロッテの著作『国家主義国民教育論 』の分析に関わって、クロード・フルーリ(Claude Fleury, 1640-1723)の著作である『学問の選択と方法について Traité du choix et de la méthode des études 1686』の一部を邦訳、解題を付した上で、平成24年度中に学術学会誌に投稿した。平成25年4月5日現在、ポジティブな査読結果を得ており、修正・再投稿中である。 本研究の成果は、これまでほとんど知られていなかった、いわゆる「近代体育」の揺籃期における実相を明らかにするものであり、今後、体育の意義や歴史を論ずる上で、看過できない視点や論点を提供するものである。 なお、体育の現代的な意義への接続を目指し、現代の代表的な体育論を分析した論文が一件、平成24年度に原著論文として学術学会誌に受理された(査読あり)。
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