研究課題/領域番号 |
23700692
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
吉松 梓 駿河台大学, その他部局等, 助教 (90508855)
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キーワード | 野外教育 / 自然体験療法 / 冒険キャンプ / 身体性 / 不登校 |
研究概要 |
本研究では、不登校、軽度発達障害、問題行動などの悩みを抱える思春期の青少年を対象に約20日間の長期に渡る冒険キャンプを実践し、彼らの「内的体験としての身体」に着目してその意味を探ることを目的としている。方法として、長期冒険キャンプにおける「こころ」と「身体」を客観的・数量的に切り分けて捉えるのではなく、その個人の全体を表現する「身体」として心理臨床の視点から検討することが特徴である。 平成24年度は、まず研究1として、長期冒険キャンプにおける「身体」の意味の全体像(対象者に共通するマクロの視点)を把握するため、平成23年度に長期冒険キャンプの参与観察によって収集した質的データの分析を行った。データの分析には質的データ分析法(佐藤,2008)を用いた。その結果、「自己との関わりにおける身体」「他者との関わりにおける身体」「自然との関わりにおける身体」の3 つの概念的カテゴリーからなる、“キャンプの「身体性」 に着目した体験の意味のモデル”が得られた。本モデルを暫定的な研究結果として野外教育学会(7月、沖縄)にて発表し、そこで得られた知見をもとに、データの精緻化および再分析に着手した。 次に、研究2として、その個人の心理的背景との関連における「身体」の意味(個別性を重視したミクロの視点)を明らかにするために、特徴的な事例(女性、15歳)の検討を行った。そして、「身体が語るもの」「コミュニケーションとしての身体」「思春期のアイデンティティと身体」「身体性を回復するプロセスとしての冒険キャンプ」という4つの視点から考察を行い、研究論文として臨床心理身体運動学研究に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、不登校、軽度発達障害、問題行動などの悩みを抱える思春期の青少年を対象に約20日間の長期に渡る冒険キャンプを実践し、彼らの「内的体験としての身体」に着目してその意味を探ることである。 平成24年度はまず、研究1の長期冒険キャンプにおける「身体」の意味の全体像把握のための質的データ分析を重点的におこなった。その結果、暫定的ではあるがモデルを抽出することができた。この点で、概ね当初の計画通りに研究が進んでいる。 また、研究2の個人の心理的背景との関連における「身体」の意味についても、検討すべき特徴的な事例のうち、まず1事例を研究論文としてまとめることができた。 これらのことから、研究目的の達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(産前産後の休暇および育児休業のため、平成25年度は研究を中断し、平成26年度まで延長予定である。) 平成26年度は、研究助成期間の最終年度となる。そのため、研究成果の発表および投稿を重点的におこなう。 研究1の長期冒険キャンプにおける「身体」の意味の全体像把握については、まず平成24年度に得られた暫定的なモデルの精緻化および再分析をおこなう。その際に、質的分析における妥当性を高めるため、研究協力者と複数人で分析結果の検討および修正を行う。そして、研究結果を原著論文として関連学会の研究誌(野外教育研究)に投稿する。 研究2の個人の心理的背景との関連における「身体」の意味の検討については、さらに検討すべき特徴的な事例(1~2事例)について、伝統的な事例研究の手法にのっとり事例検討の機会を設け、有識者複数人の間主観的合意に基づいてその意味を深く掘り下げていく。 最終的に、研究1および研究2の成果を総合的に考察し、報告書としてまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、次年度(平成26年度)に使用する研究費については、平成24年度に研究発表のために参加した学会の国内旅費が予定より少額で収まったため5,930円を繰り越すこととなった。その上で、次年度の研究費の使用計画として以下の経費の計上が必要である。 1)国内旅費(150千円):研究代表者および研究協力者の研究打ち合わせのための旅費(3名×2日間)、研究代表者の成果発表のための旅費(1名×2日間)。 2)謝金等(100千円):研究協力者の研究雇用費(2名×5日間) 3)消耗品費(100千円):データ記録用メディア、携帯型プリンター、研究資料(学位論文・関連図書等)、文房具類(ファイル、印刷用紙等)、等 4)その他(50千円):研究成果発表投稿料、印刷費、等
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