本研究は,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを作成することを目的とし、以下の手続きに沿って行った. 1)ゲーム状況の作成:実際のゲーム場面に限りなく近似させたテストとするため,バスケットボールの公式ルールに沿ったオールコート5対5による試合を想定した。また,ボールを持たないときの動きを判断する場面に至るまでのゲーム経過が重要だと考え,試合場面を想定したゲーム状況を組み立てた.具体的には,「パスを出した直後のボールを持たないときの動き(パスを出した人)」と,「パスを受けた人に合わせるボールを持たないときの動き」に着目し,それぞれ「オールコート・ハーフコート」について,典型的な動きのパターンを参考にしながら各6パターン,計24種×2方向(攻撃方向が右から左へ,左から右へ)のゲーム状況を設定した. 2)ゲーム状況の撮影:ゲーム状況の撮影は,N女子体育大学のバスケットボール部に所属する選手の協力を得て,ワイドコンバージョンレンズを取り付けたハイビジョンデジタルビデオカメラを用いて1プレーずつ行った. 3)ゲーム映像の編集:撮影した画像は,ワークステーションに取り込み,攻撃のプレーの途中で一時停止し,その後画面が消えるようにデジタル加工した. 4)「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストの作成:被験者には,攻撃の途中の決定的場面で「この場面において,ボールを持っていないプレーヤーはどのスペースに動くべきか?」を判断することを求めた.映像の提示順序は無作為とし,1問につき1回のみ再生することとした.画面が消えた後,直ちにその問題に対する回答を求める形式とした.
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