研究課題/領域番号 |
23700696
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鈴木 直樹 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60375590)
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キーワード | 反省的実践 / 体育教師教育 / スタンダード / 国際情報交換(米国・豪州・芬蘭) |
研究概要 |
本研究では,体育教師の資質・能力規準の観点を反省的実践家という専門職像から明らかにすることを目的としている。平成24年度は,平成23年度に実施した豪州・米国の調査を整理し,両国の教師スタンダードと日本の教員養成が目指している方向性を比較する中で教員養成の現状と課題を検討し,日本の教員養成においてはより緩やかな全体的な学びが必要であることを明らかにした。 また,平成23年度に予定をしていたフィンランド調査を平成24年度に実施し,フィンランドにおける教員養成の取り組みについて検討してきた。その結果,フィンランドでは,教師のスタンダードに適合させていくというよりも,研究的実践家を育成し,学びつ続けていく教師の育成に取り組んでいる方向を見出すことができた。 さらに,これまでの研究から,反省的実践は,観察する力の育成,実践するためのエクスパティースの向上と関連しあいながら,育まれ,教師の意思決定と相互関連的に授業の中で発揮されているものであることも見出された。すなわち,即自的な意思決定のレベルや授業を終えた後の意思決定のレベルにおいて,適切に実践を振り返る力とそれを生かす力は相互補完的な関係にあるということである。 この振り返りの能力は,本研究のこれまでの検討から,教師の成長とともに変化することが明らかになっており,本研究の最終年度となる平成25年度は,そのステージを定義づけ,それぞれにおいてリフレクションをする上で振り返る対象と振り返りの方法といった視点からスタンダードの作成に取り組み,教師教育の中で生かしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スタンダード策定にあたっての理論的な枠組みが生成されてきている。平成25年度には,これまでの成果をもとにしながら,スタンダードの作成をすることが可能であることが推測できる。課題は,スタンダードを作成する教師の発達段階をどのように定義づけていくかということにある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究は,残された課題を明らかにするとともに,研究の成果の発表と国際的情報交換を通して研究の質を高めていくことにある。 そこで,まず発達ステージをリフレクション能力という観点から整理し,そののち,スタンダードを発達段階ごとに開発し,検証を進めていく。 また,これまでの研究成果を国際学会であるAIESEP National Congress, AIESEP PETE Seminarなどで発表をし,意見交換を積極的に行い,研究の課題を整理していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策から考えると,研究費の中の多くが出張旅費,学会参加費に使用される。また,スタンダードの活用に関しての検証実験が予定されているので,その実験補助及びデータ整理にも研究費を使用する必要がある。さらに,平成25年度が最終年度となる研究であるために,報告書など成果発表の為の費用が必要である。
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