研究課題/領域番号 |
23700698
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
原 祐一 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (80550269)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 評価 / 潜在的カリキュラム / キー・コンピテンシー / 写真 |
研究概要 |
本研究の目的は、体育科の評価をめぐる潜在的カリキュラムについて実証的に明らかにし、教員のキーコンピテンシーを高める評価法を開発し、生きた評価の在り方について提言することである。そのために、本年度は、教員を対象としたインタビューを行い、「評価に影響を及ぼす要因」について明らかにした。また、評価法開発に着手し、モデル実施する中でみえてきた評価法開発に取り組んだ。 まず、「評価に影響を及ぼす要因」としては、教師のこれまでの体育授業経験、体育的行事、スポーツ少年団の成績などが授業評価に対して、潜在的に影響を及ぼしていることが示唆された。これらの要因は、直接自身の経験を問うことではなく、学校内での言説を語るという集団面接法によって示された内容である。また、スポーツ少年団などの成績を学校という場において表彰式を再度設定するという、小学校の慣例的行事が持つ潜在的機能について学会発表を行っている。 次に、評価法開発についてである。評価法は、教員のキーコンピテンシーを高める必要があり、ICTを活用したポートフォリオ実践を行っている。当初は3年目に主に研究を進める予定であったが、協力が得られたため前倒しで取り組みを始めている。このことによって、調査によって明らかになったことをすぐに反映することが可能になっている。また、この評価法開発については、学会発表並びに、教育雑誌に投稿することによって、すでに多くの人が取り組みを始めており、社会的貢献にもなっていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画としては、教員に対する集団面接による質的研究、教員に対する質問紙調査を計画していた。このうち、集団面接による質的研究は、十分な成果を得ることができた。しかし、教員に対する質問紙調査は、打ち合わせがうまくいかず、本年度は実施することができなかった。この点については、平成24年度に実施できるよう調査依頼をし、調査ができる段階にまで到達しているため、平成24年度に実施したい。また、当初平成25年度に研究成果を示す予定であった評価法開発については、すでに協力校との連携の中で取り組みを進めることができている。この点については、研究を前倒しで進めていくことにより、当初計画していた目標よりも進めることが可能性として示され、本年度の成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成23年度に計画していた教員に対する質問紙調査を行う。また、当初から平成24年度に計画していた、小学生に対する質問紙調査、イギリスにおける評価システムのヒアリング調査を行う。これらの研究と同時に平成23年度から進めている評価法開発も前倒しで進めることによって、研究を推進していく。また、平成25年度には、3年間の研究をまとめ、評価法を実践モデルとして提言できるように研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、次の2点を調査研究する計画となっているため、この点について研究費を使用する計画である。1.教員に対する集団面接調査の結果を受け、教員に対する質問紙調査を実施する。また、「子どもにとっての評価の意味」を明らかにすべく、小学校6年生の児童に対して調査を行う。配布部数は2000部程度を予定しており、学校単位の留め置き法によって実施する。このために調査配布に関して研究費を使用する。2.イギリスにおける評価システムを調査し、評価システム活用の原理を分析する。また、評価システムを運用する上での成果と課題について明らかにする。なお、本調査は、イギリスのラフバラ大学に所属する、マイク・ワーニング准教授をカウンターパートとして調査を行う。このために、海外調査費、通訳費などとして研究費を使用する計画である。
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