研究課題/領域番号 |
23700699
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
糸岡 夕里 愛媛大学, 教育学部, 講師 (50387966)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 体育科教育 / 教員養成 / 省察 / ルーブリック |
研究概要 |
愛媛大学教育学部において保健体育教師の免許に関する授業を担当する2名の研究者により,体育教師として求められる省察能力の観点およびその基準について列挙し、ルーブリックを作成した.その際,各授業において省察能力のねらいは同様ではないことから,3授業すべてにおいて共通するルーブリックを作成するのではなく,各授業における独自の観点、また共通の観点においては基準を峻別した.ルーブリックの作成にあたっては,学習者が何らかの形で参加することが要件となる.そこで,各授業において,授業前に学生自身が何を身に付けたいのか,授業後に何が身に付いたのか質問紙による調査を行った.ルーブリックの表記内容については,具体的であり,かつ教師と学生とが共有できることが要件であることから,この調査を学生対象に実施することにより,学生の視点に立ったよりわかりやすい表記となるよう心がけた. また,作成したルーブリックの妥当性を検討するために,以下の手続きを行った.中四国における教員養成系の大学に所属し,体育科教育を専門とする研究者とともに筆者は,体育教師教育研究会を春,秋と年2回開催している.そこに参加する研究者は,それぞれの所属する大学において模擬授業を実施し,それらの実践について報告を行ってきた.これまで愛媛大学での実践も報告しており,体育教師教育研究会へ参加する研究者は,本研究の対象とする3授業のねらいについて把握していることから,ルーブリックの作成において,より建設的な意見を得ることができた. 1年目のまとめとして,日本体育学会において作成したルーブリックについて発表し、多くの研究者から意見や指摘を受け,より質の高いルーブリックとなるよう再修正を行った.また,今後の研究展望としての示唆を得ることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに予定していた研究計画としては大きく2つの内容である.(1)ルーブリックの作成,(2)成果発表. 当初の計画通り,ルーブリックを作成し,学会において研究成果の発表をすることができたことから,本研究は,おおむね順調に進展している.その主な理由としては,以下の通りである. 学生を対象として,省察能力についての調査を実施した.自由記述による調査を行ったために,得られた回答についてKJ法を実施し,ルーブリックの項目として妥当ととされる内容を列挙した,一連の手続きについては,体育科教育を専門とする研究者2名との協議を行い,ルーブリックを作成した. その成果については,日本体育学会第62回大会において発表することができた.そこでの指摘を受けて,研究方法について再検討し,ルーブリックの修正を行った.その後の研究経過の成果発表については,今年度の7月に開催される国際学会ICSEMIS(International Convention on Science Education and Medicine in Sport)にて発表を受理されており,その発表へ向けて準備中である.この学会ICSEMISは,国際学会であることから,本研究の成果について,国際的な評価を受けられるということから,きわめて有意義であると考える.また,さらなるその後の研究経過の成果発表についても日本体育学会第63回大会において発表を予定している.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては,大きく2つの内容である.(1)ルーブリックを活用した授業における成果検証,(2)成果発表. ルーブリックを活用した授業を実施し,その授業を受講した学生に対して質問紙調査を実施し,ルーブリックの効果について検証する.現在,その調査内容について検討中であり,文献による情報収集に努めている.さらに5月に開催される体育教師教育研究会において,この調査内容についてのラウンドテーブルを開催する予定である.体育教師教育研究会では,中四国の体育科教育を専門とする研究者が参加することから,より質の高い調査内容が作成できると考える. 研究経過の発表として,国際学会であるICSEMIS(International Convention on Science Education and Medicine in Sport),日本体育学会第63回大会での発表を予定しており,今後の研究展望の示唆を得る予定である.特に,国際学会ICSEMISでの発表を予定していることから,海外における評価を受けることができると共に,海外の動向についても情報収集を行うことにより有益な示唆を得ることができると考える. また,研究成果のまとめとして日本スポーツ教育学会第32回大会での発表を予定している.日本スポーツ教育学会第32回大会での発表の指摘を受け,ルーブリックを活用した授業の効果について論文をまとめ,日本スポーツ教育学研究へ投稿し審査を受ける. 最後に,本研究により得られた一連の成果について研究成果報告書を作成し,関係諸機関へ配付することにより研究成果を還元する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
情報収集のために文献の購入を予定しており,5万円程度が必要となる. 研究成果発表のために,国際学会であるICSEMISで発表を予定している.イギリスのグラスゴーで開催されることから,50万程度の旅費が必要となる.その他の発表としては,広島で開催される体育教師教育研究会のために約3万円,東京で開催される日本体育学会第63回大会のために約8万円,名古屋で開催される日本スポーツ教育学会第32回大会のために約4万円が必要となる.
|