本研究の目的は、(1)結婚をキーワドに日本人女性アスリートのキャリアプロセスを明らかにする。(2)Role - Exit Theoryの有効性を検証するともに、Role -Exit Modelの修正モデルを構築することであった。昨年度までの2年間で調査は終了していたため、本年度は最終年度として、まとめの作業を行った。具体的には、①学会発表、②論文投稿である。 ①学会発表:2013年6月にデンマークコペンハーゲンで開催された「the FREE conference 2013 in Copenhagen」において「Career Transition of Japanese Women Football Player」というテーマで発表を行った。 ②論文投稿:日本語で執筆した原稿を英語に翻訳し、投稿の最終段階である。 結果として、男性とは異なるキャリアプロセスを歩み、異なった特徴を持ったキャリアトランジションを行っていたと共に、結婚を意識することによってキャリアプロセスを決定していたことが明らかになった。したがって、Role - Exit Theoryおよび、Role - Exit Modelには修正が必要である。そして、彼女たちのキャリアトランジションには、結婚にともなう性役割観が影響を与えることが明らかになった。 これは日本人特有の現象であったことから、学会発表の際には海外の研究者から非常に興味を持たれた。「スポーツ立国戦略」おいて、トップアスリートが安心して競技に専念できる環境の整備」が謳われている。その中の小項目として、キャリア形成支援と女性アスリートの支援項目が設けられていることからも、海外のアスリートと勝負していくための対応策の一助として、本研究は意義なものであったと考えられる。
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