研究課題/領域番号 |
23700720
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
榎本 靖士 筑波大学, 体育系, 准教授 (90379058)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | バイオメカニクス / 発達 / 投動作 / 連動性 / 類縁性 |
研究概要 |
昨年度は、所属の変更と震災の影響により研究の進行は当初計画より大幅に遅れているが、資料収集などで以下の2点について一定の成果を残すことができた。1)投動作の連動性の評価方法の検討加速度計を用いて足、腰、肩、手の連動性を評価する方法を検討した。すなわち、加速度のピークが生じる時間的タイミングを抽出することで、動作の連動性を評価するものである。2)投動作の類縁性の検討海外から資料を収集し、かつ協力研究者とのディスカッションにより、投動作の発達過程および学習方法について、検討が進んだ。1つは、投動作の発達には野球文化の影響が強く、北欧においても野球文化が影響していることがわかった。今後はより野球文化の影響が小さい地域において投の文化や学習について資料を収集する。 さらに、資料収集において、機能解剖学的観点から全身の動作の連動性に寄与するメカニズムを検討することができた。すなわち、「Coordination Dynamics」という本に、これまであまり触れられていない全身運動における制御や学習について述べられており、新たなコンセプトとして「Anatomical Chain」や「Reflex Chain」についてさらに検討を進めることが役立つと示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属の変更と震災の影響によって研究推進が遅れている。すなわち、所属が申請時には京都教育大学であったが、交付決定時には筑波大学に移動していた。研究環境が変わったことにより、実験を実施するための被験者および検者の確保が困難になった。後任の教員と打ち合わせを行ない、実験を京都教育大学で実施できる目途は立った。また、震災の影響で、スタートが遅れ、さらに交付額が夏まで決まらなかったため、海外に資料収集に行くことができなかった。しかし、協力研究者とは何度かディスカッションし、投てき文化の高い国における投げの発達や学習について情報交換した。さらに、文献を収集し、今後に発展する研究のアイデアを養生することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
海外における資料収集は早期に実施する。昨年の議論で、北欧の投てき文化の高い国においても野球文化の影響が強いことがわかったので、野球文化の影響の小さい地域において投の発達や学習について資料を収集する。そして、すでに実験を実施する準備が整っているため、本年度で予定通り研究をまとめることが可能である。前任校の京都教育大学において後任の小山氏と協力し、小学生児童および大学生を被験者に実験を実施する。そして、研究のまとめ方では、新たに全身の連動性を評価する視点として、機能解剖学的観点を取り入れ、投動作の類縁性を検討する。これにより、投動作のみならず、他の全身運動を評価する方法論を確立することが期待され、さらに研究を発展させることが可能となるであろう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
海外の資料収集に多くの経費を充てる予定である。これには昨年度からの繰り越し額を充当する。そして、実験を京都教育大学で実施するため、当初計画以上に旅費や謝金が必要となる。研究をまとめるにあたって、大量のデータを処理するため、データの解析のための数値計算ソフトを購入し、プログラミングによって効率的にデータを処理する計画である。また、ファイルやハードディスク、メモリなどの消耗品を購入し、資料や研究成果を整理する。
|