本研究では、まず投動作に関する文献や指導書から投動作に類似した動作を検討した。その結果、投動作のパフォーマンスを、身体を移動することによる速度、腕を振ることによる速度、腕以外の身体の貢献による速度に分類でき、それらに関連する動作のパフォーマンスを小学生児童を対象に測定した。野球を専門としていない小学生児童1~6年生を対象に、ソフトボールの助走あり、なしでの遠投、ボールの投げ上げ、地面へのボールの投げ下ろし、サッカーボールのスローイング、バットスウィング、1kgメディシンボールのフロントおよびサイドスロー、懸垂を計測した。その結果、助走ありのソフトボール投げの投距離は、助走なしのソフトボール投げの投距離との間に高い相関関係があったものの、サッカーボールのスローイン距離との間、さらにソフトボール投げ上げ高との間により高い相関関係がみられた。さらに、メディシンボールのフロントスローとの間には有意な相関はみられなかったがサイドスローとの間には有意な相関がみられた。メディシンボールのサイドスローでは上体の回転動作に抗する下肢の準備状態が、投げ上げやスローインでは腕の振りばかりでなく、体幹の準備状態が強く影響していると考えられる。以上の結果は、児童の投能力の発達のためには、腕を振る動作ばかりでなく、投げるための下肢および体幹の準備状態を向上する必要があることを示唆していると考えられる。
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