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2011 年度 実施状況報告書

サラブレッドの競走能力を制御する体内環境シンクロナイズ因子の網羅的解明

研究課題

研究課題/領域番号 23700722
研究機関山口大学

研究代表者

山野 聖子  山口大学, 総合科学実験センター, 技術職員 (00448276)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードサラブレッド / 体内環境シンクロナイズ因子
研究概要

本研究は、1.MyoD遺伝子の転写活性を骨格筋新生因子の指標として、細胞外に分泌された体内環境シンクロナイズ因子の中でも分泌型骨格筋新生因子の解明を行うこと。2.同定された因子をサラブレッドのバイオプシーから分離した繊維芽細胞に加え、骨格筋への筋新生を確認すること。3.同定した分泌型骨格筋新生因子の分泌量をサラブレッドの血液から測定し、この因子の分泌量と運動能力との相関関係を解明することを目的としている。 平成23年度は、その第一段階として、心筋低酸素刺激に応答して分泌する骨格筋新生因子の解明を行うため、マウスの心筋由来株化細胞H9c2細胞の培養を行った。培養細胞に低酸化ストレスを与えるために、研究室で独自に確立した細胞レベルでの虚血モデルを使用した。その後、培養上清を回収濃縮し、プロテオーム解析を行った結果、109種類の因子が放出されていることが明らかになった。今回は、これらの因子の中でも分泌が顕著であった8因子について、クローニングを行い、遺伝子配列を確認した。それぞれの遺伝子に、検出用のV5タグと分泌シグナルを付加した後、遺伝子をHEK293T細胞に導入した。このベクターには、ヒト染色体の相同配列を挿入し、相同組み換え酵素を同時に合成することで、染色体に組み込まれるように細工を施した。抗生物質を用いてセレクションをしながら細胞をクローニングし、染色体上に遺伝子が一か所挿入された細胞を単離した。これらの細胞について、タンパクの分泌を確認したところ、CD14とC3の2つの因子が細胞外へ放出されていた。CD14とC3について、遺伝子導入したHEC293T細胞と筋芽細胞を共培養し、筋芽細胞の分化増殖を観察した。その結果、いずれも顕著な細胞の収縮は観察されたが、増殖や分化は認められず、これらの2因子は骨格筋への分化には、関与していない可能性が高まった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成23年度は、心筋細胞に酸化ストレスを与えた際に顕著に分泌される8因子について、筋芽細胞の分化増殖への影響を調べる予定であった。しかし、実際に細胞外に分泌され、回収できた因子は、CD14とC3の2つだけであった。この2つの因子については、筋芽細胞の分化増殖には関与していない可能性が高まった。また、その他の6因子に関しては、細胞内に残存したままで、分泌シグナルによる細胞外への放出は観察されなかった。そのため、当初予定していた方法での回収が困難となり、新たな発現方法の検討を余儀なくされている。

今後の研究の推進方策

まずは、平成23年度に回収できなかった6因子の回収を試みる。具体的な回収方法としては、これまでは培養上清からの回収を試みていたが、細胞から直接抽出精製する方法に切り替える予定である。さらに、回収した因子を筋芽細胞に添加し、筋芽細胞の分化増殖への影響を観察する。 また、最初の濃縮ステップを、これまでの陰イオン交換カラムから陽イオン交換カラムに変更し、低分子の因子を標的とした実験系を確立する計画である。これにより、サイトカイン活性のある因子などの新たな因子についても検討できるようになると考えている。 さらに、Dual luciferase assayにより、回収した因子からMyoDを活性化する因子をスクリーニングを行う。まず、MyoD DNA結合ドメインを、pGL4ルシフェラーゼ発現ベクターにサブクローニングする。次に、ルシフェラーゼ発現ベクターを挿入したNIH3T3細胞に単離したタンパクを添加し、ルシフェラーゼ活性を測定する。その後、活性フラクションを電気泳動し、確認する。活性フラクションをカラムにかけ、目的の分子量のフラクションを回収、濃縮する。目的タンパク質を電気泳動し、ゲル内消化を行う。S-メチル化と抽出後、ペプチドフラグメントを抽出、精製する。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度は、心筋細胞に酸化ストレスを与えた際に顕著に分泌される8因子について、筋芽細胞の分化増殖への影響を調べる予定であった。しかし、因子の回収が思うように進まず、筋芽細胞に添加するまでに至らなかった。そのため、筋芽細胞の培養等に関わる消耗品を購入するための費用を、平成24年度に繰り越すこととなった。 平成24年度は、前年度に引き続き、細胞培養用の血清や培地、関連試薬などを購入する予定である。また、低分子の因子を標的とした新たの実験系を確立するために、タンパク精製用の陽イオンカラムを新たに購入する計画である。

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公開日: 2013-07-10  

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