研究課題/領域番号 |
23700722
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山野 聖子 山口大学, 大学研究推進機構, 技術職員 (00448276)
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キーワード | サラブレッド / 体内環境シンクロナイズ因子 |
研究概要 |
今回の研究の主な目的は骨格筋新生因子の指標として骨格筋新生のマスター遺伝子であり、単一遺伝子で繊維芽細胞から骨格筋を新生できるMyoD遺伝子の転写活性を指標に細胞外に分泌された体内環境シンクロナイズ因子の中でも分泌型骨格筋新生因子の解明を行う。同定された因子をサラブレッドのバイオプシーから分離した繊維芽細胞に加え、骨格筋への筋新生を確認する。さらに、同定した分泌型骨格筋新生因子の分泌量をサラブレッドの血液から測定し、この因子の分泌量と運動能力との相関関係を解明することである。 今年度、骨格筋由来の株化細胞を1リットル培養し、細胞を低酸素ストレス(1%酸素濃度)下で2時間刺激した。その後、通常の培養条件(20%酸素濃度)に戻し、24時間培養した。その培養上清を全量陰イオン交換カラムにアプライし、塩濃度を徐々に増加させ、蛋白を分離溶出させた。溶出したフラクションを2mlづつ試験管に分注し、その一部を活性測定用に取り分けた。このフラクションをそれぞれスピンカラムに詰めたゲルろ過カラムで精製し、混入した塩を除去した。同時にMyoDプロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入したプラスミドを骨格筋細胞に導入しておき、この遺伝子導入細胞に脱塩したフラクションを添加し活性を測定した。活性測定は、デュアルルシフェラーゼ測定を行い、コントロールベクターでデータを補正した。今回の実験では、有意な活性は認められなかった。おそらく分離したタンパク量が少なく、活性の検出限界以下ではなかったかと思われる。そのため、さらに大量培養および精製を行い、蛋白を濃縮し、再度活性測定を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究は計画通りに進行しているが、活性が予想外に弱く、現在まで分離した蛋白では検出されていない。大量の蛋白から調製する必要があるが、活性化因子が複数存在している可能性も念頭に入れ、慎重に実験を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
さらに大量の蛋白を調製し、より大きなカラムでタンパク質を分離精製する必要がある。また、骨格筋だけではなく、心筋からも分泌蛋白を調製し、骨格筋に分化する因子が放出されているか検討する必要がある。 サラブレッドの骨格筋のバイオプシーサンプルは予定通り保存されており、蛋白が同定でき次第、遺伝子発現を確認する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、蛋白を効率よく抽出するための条件検討等に多くの時間を費やしたため、試薬や培養シャーレの購入量が予定より大幅に少なくなり、562,667円の未使用額が発生した。この未使用額については、平成25年度の実験試薬および細胞培養用の血清や培地の購入に充てる予定である。また、低分子の因子を標的とした新たな実験系を確立するために、タンパク精製用の陽イオンカラムや、活性測定用試薬、遺伝子解析試薬等を新たに購入する計画である。
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