環境の変化に合わせて遂行中の運動を素早く正確に修正する運動修正能力は,適応的な行動の発現に不可欠な能力である.本研究はスポーツにおける運動修正能力の熟達に関与する中枢メカニズムを明らかにすることを目的とした.一連の研究から,運動修正には,①刺激の弁別,遂行中の運動のエラー検出,出力された運動プログラムの抑制と切り替え処理が必要であり,②これらの処理を達成するために,帯状回,視床背内側核,右下前頭回,前補足運動野を中心とした中枢ネットワークが関与していることが示唆された.③また,運動修正の熟達には,特に,右下前頭回の抑制機能の発達が重要であることが明らかになった.
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