研究課題/領域番号 |
23700725
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
高橋 仁大 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 講師 (50295284)
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キーワード | ゲーム分析 / performance analysis / コーチング |
研究概要 |
本研究は,筆者らが開発したテニスの電子スコアブックのデータ出力プログラムを用いたパフォーマンス評価手法の妥当性について検討する(課題I)とともに,この評価手法を実際のコーチング場面で活用し,その有効性について検討する(課題II)ものである. 平成24年度は平成23年度の研究成果である,ラリー中のグラウンドストロークのショット時間が,ラリー中の主導権の有無を示す可能性がある,という結果を発展させ,グラウンドストロークラリー中のミスについて詳細に検討した.世界トップ選手と学生選手のミスを比較した結果,フォアハンドストロークにおいて学生選手はサイドアウトの割合が増加することが明らかとなった.さらにその内容について検討したところ,学生選手のミスは攻撃的なショットを打っている際に増加していることが明らかとなった. テニスのゲームを評価する際に,ミスをどのように評価するかという観点は,避けて通れない課題といえる.その中で本年度の研究成果としてミスの状況が明らかになったことにより,プレーヤーの評価を行うにあたっての客観的な評価の観点を提供することが可能になると考えられる.さらにミスが生じる状況の差異は,ラリー中の主導権の有無と関連のある現象と考えられることから,今後はグラウンドストロークのショット時間との関連を検討することにより,評価の基準を示すことができると考えられる. これらの研究成果を明らかにした上で,当初計画していたデータ出力プログラムのカスタマイズ化に取り組むことを計画していることから,プログラム開発については,25年度以降に継続して研究を進めることとする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に,performance profilingを用いた評価が,ゲーム差との関連があることが示されたことから,データ出力プログラムの改良にむけてはperformance profiling手法を活用することが有効であるといえる.プレーヤーのパフォーマンスを視覚化するperformance profilingを用いることによって,課題IIで設定している実際のコーチング場面での活用につながると考えられる. また平成24年度の研究成果として,グラウンドストロークラリー中のミスの状況について明らかにすることができた.これに加えて平成23年度は,パフォーマンス評価につながる指標としてのショット時間の重要性が示されたことから,これらの成果を統合する形で,平成25年度の研究を進めることを計画している. 以上のように,本研究の大きな課題であるテニスの電子スコアブックのデータ出力プログラムを用いたパフォーマンス評価手法の妥当性について,その評価項目を精選していく研究が順調に進んでいることから,本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる. 一方で実際のコーチング場面での活用についても実践事例を積み重ねながら,その有効性について検討していくことが必要であろう.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,まずテニスの電子スコアブックのデータ出力プログラムを用いたパフォーマンス評価手法の妥当性について,これまで明らかとなった研究成果を基に,グラウンドストロークラリー中のミスの状況とショット時間の関連性について詳細に検討を進めていく.特に,打球前のショット間時間とその後の打球の結果との関係について,世界トップ選手と学生選手のゲームにおけるラリーを対象に,検討していく. 一方で本研究のもう一つの課題である電子スコアブックを用いた評価手法を実際のコーチング場面で活用し,その有効性について検討する課題については,現時点で電子スコアブックを用いて出力可能なデータを基に,実際のゲーム場面でのプレーヤー評価ならびにフィードバックを行い,その有効性についてゲームにおける各指標の変化やプレーヤーへの調査から明らかにしていく. これらの研究成果が明らかになった後,performance profiling手法を活用したデータ出力プログラムのカスタマイズ化を進めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は評価項目の妥当性を検討するためにグラウンドストロークラリーにおけるミスの内容について詳細に分析を行ったことから,データ出力プログラムのカスタマイズ化を次年度以降に繰り越した. 繰り越し分の経費については,平成25年度分の経費と合わせて,実際のコーチング場面での活用とその有効性について検討するために国外でのデータ収集を予定しており,その分の経費として使用する予定である.
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