本研究の目的は、プロスポーツチームとスポンサーがファンに与える影響を分析することである。また同時に、スポンサーのベネフィット分析を多面的にも行なうことである。特に、ファンの地域アイデンティティ構築プロセスへの影響やファン目線でのスポンサーイメージを多面的に捉えて分析する。この調査の結果により、地域活性化や新しいナレッジの創出(安定したチーム経営、地域ビジネス)につながると思われる。 最終年度は国際学会への発表とデータ分析を中心に行った。国際学会での発表は地域アイデンティティ(以下、地域ID)形成プロセスがどのような要素で成り立っているのか、また、それが、どのようにスポーツチームアイデンティティ(以下、スポーツチームID)につながり、最終的にスポンサーにとってのベネフィット(スポンサーに対する好意など)につながるかを発表した。地域IDとスポーツチームID形成要因については、先行研究と似通った結果となった。また、地域IDは直接スポンサーへの好意にはつながらず、スポーツチームIDが二つの要因を媒介していることが判明した。つまり、スポーツチームは地域密着プロモーション策を展開することで、ファンの地域ID向上とスポーツチームID向上につながり、結果的にスポンサーへの利益還元が行えることが分かった。また、どのような要因が地域IDとスポーツチームIDにつながるかを明らかにすることにより、より安定したチーム経営につながることが分かった。スポンサーメリットの多面的な分析の発表は今後論文という形で行いたい。
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