研究課題/領域番号 |
23700729
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
信太 奈美 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (90433185)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 障害者スポーツ / 社会的意義 / マネジメント |
研究概要 |
本研究の目的は,障害者スポーツの社会的位置づけに着目し,障害者スポーツの価値とは何かを社会学的に分析することである.研究計画の初年度は,日本における「障害」「スポーツ」「障害者スポーツ」それぞれの位置づけについて歴史的・文化的側面からフレーム分析を行い,先行研究や各報告書をベースに,健常者と障害者のスポーツおける接点の周辺から対象者を選出しインビュー調査を行った.インタビューの対象は,健常者と障害者が一緒に行っている競技で,なおかつ健常者よりも障害者の能力が高いスポーツを行っている障害者と健常者である.また,障害者のスポーツに携わっているが何らかの理由で健常者と障害者が一緒に行うことができない(しない)健常者である.前者は車椅子バスケットボール,ブラインドテニス競技を対象とし,後者は電動車椅子サッカーを対象とした.分析に関しては現在進行中である.一方,障害者スポーツ体験を行った経験のない健常者に対し,競技という側面からボッチャ・ブラインドテニスという障害者のスポーツ体験をさせ,体験したスポーツについての自由回答を得た.経験を通して見るのと行うのとでは印象が異なること,スポーツを通して障害という「不自由さ」に対してパラダイム変換がみられた.さらに,インターネットで行った調査では,身近にあるスポーツ施設にスポーツを行う障害者がいるかという問いに対し,「いる」の回答は6.8%であり,障害者のスポーツは主に特定のスポーツ施設で行われている現状が明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた国内の資料収集・インタビュー調査は実施済みであるが,分析については現在進行中であるため.
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今後の研究の推進方策 |
計画2年目は主に海外の調査を行う.諸外国文献調査は,すでにアメリカ・オーストラリア・イギリスについては一部の資料収集が済んでいる.今後の海外調査としてはイタリア・スペイン・ドイツを対象としているため,すでに決定している現地の調査協力者から情報を収集する.9月上旬にイギリス(ロンドン)を訪問し,イギリスの現地調査とあわせて,調査協力者からの資料を集めて諸外国の調査をまとめる作業を行う計画である.計画3年目は,2年間で行ってきた分析の総まとめとして,日本の文化に適した障害者スポーツのあり方を検討する.地域に根付いたプロリーグ(Jリーグ・BJリーグ)企業と連携し,公立大学などの教育機関が地域の情報発信機関となりうる既存の施設・産官学を活用した地域スポーツマネジメントモデルを作成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の調査を行うため,主にイギリス(ロンドン)への渡航費・宿泊費と研究協力者への謝金に使用する計画である.
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